ロケ地:魔力石採掘場
好きに暴れられる場所があるというので、外へ向かった。
森とは反対方向にある、魔力石の採石場跡だ。
『やはりヒーローのロケ地といえば、採石場だな!』
「あなたは、ときどきワケの分からないことを言いますね」
ベルト状態のリュートがハッスルしているのとは対照的に、コデロの態度はドライだ。
『いいから変身しよう』
「はい。変身」
イヤイヤながらも、コデロの変身ポーズは慣れたモノである。
「じゃ、トレーニングしよう」
コウガの限界を知るテストは必要だ。
ダニーが高い崖の上を指す。
「俺はあの崖にゴーレムを形成して、岩を落としていく。お前さんはそれを砕いていくんだ」
ダニーが、ゴーレムを崖の上に形成した。
「そうれ!」
号令と当時に、ゴーレムが岩を投げ落とす。
『トゥア!』
コウガは、キックで岩を破壊する。
「よし、次は膝蹴りで壊してみろ」
『いくぞ、トゥア!』
指示通り、飛び膝蹴りで岩を粉砕した。
『おやっさん、あなたのゴーレムと戦うというのは?』
「無理だ。俺は戦闘のプロではないからな。ゴーレムも、防壁に使うのがやっとなんだ。戦闘慣れしたヤツが相手じゃ敵わんさ」
ダニーはあまり、戦闘に自信がないらしい。
『ヒーローモノの特訓って感じで気持ちいいな!』
リュートはノリノリだが、コデロは冷めている様子だった。
「こうしている間にも、怪人が街を襲っているのでは?」
『それはない』
「どうしてそう言い切れますか?」
イラつきながら、コウガ状態のコデロが岩をパンチで砕く。
『怪人の開発には、月日を要するからだ。それに、そうそう強い怪人は作れないと確信している』
あの様子だと、まだテスト段階である。
それほど強い怪人は作れないと、リュートは見た。
『大昔はガワの構造が簡単だったから、一週間くらいで作れた。いまはギミックが複雑になっている上に、財政難もある。二週間くらいは、猶予があるんじゃないか?』
「……まるで見てきたような言い方ですね」
リュートの力説にも、コデロは呆れている。
「いや。ベルトの言い分も、もっともだ。強い怪人を作るなんてのは、強い素体だって必要だろう。高い改造技術も。盗賊なんて粗末な素体を使っていたんだ。あまり余裕はないと思って
いい」
ゴーレムで岩を転がしながら、ダニーも意見を飛ばす。
「それでは、あのクモ怪人が特別に強かったと?」
「そう見ていいだろう」
昼食にミレーヌの弁当をはさみ、次の特訓へ。
「よし。次は武器を使ってみろ」
ベルトに触れ、剣を喚びだしてみた。
二刀流の片手剣を振り回してから、両手剣に持ち替える。
そのまま夕方まで、武器を変えてはゴーレムと打ち合った。
『やっぱりだ。武器が最適化されている』
ベルトに武装を収めると、コウガにふさわしい形状へと変形するらしい。
数種類の武装を持ってきたはずなのに、呼び出せるのは少数だ。
ベルト内部で分解されて、コウガの武器として相応しい形状に変質するのだろう。
やはり形状は、リュートの知っている特撮番組に出てくる種類と近い。
ここまで、イメージが実体化するとは。
夕飯ができたと、ミレーヌが呼びに来た。
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