ドライな決断

 コデロの意見は、的確だ。

 確かに、この剣は完膚なきまでに破壊されている。

 これなら、一度潰して再アイテム化した方が早いだろう。

 その方が活用できて、報われる。


 そうは言っても、コーデリアの感情を無視することには繋がらないのか?



「魔物には通用しなかったのです。魔物を倒せる武器に生まれ変わるなら、形にはこだわりません」


『これはキミにとって、大切な武器なんじゃないのか?』


 もっと執着すると思っていたが。


「完全修復すれば、かえってコーデリアの存在を世に知らしめてしまいます」


『それもそうか。分かった。まったく別物に作り替えよう』


 その後もリュートは、ダニーの意見を取り入れつつ、武装を強化していく。


『銃はもっと小型化して、出力を上げられる。鎧も更に軽くできるな』


「魔力の籠もった宝玉が、他にもあるだろ? そいつは使えないか?」


『コウガの魔力を底上げするレベルには至らない。ただ、武器には使えそうだ』


 しばらくすると、コデロがあくびを始めた。設計などの知的作業がメインだからか、退屈したようである。



『一晩作業になりそうだな。コデロは寝ていろ。オレとダニーで作戦会議をする』

「そういうワケには」

『寝てくれ。明日はトレーニングをしてもらうからな』


 これら装備は、まだ使えるかどうかまでは分からない。 

 必要のない装備かどうかを選択しないと。



「では、お言葉に甘えて」

 コデロは、地下にあるベッドに横たわる。



『ここからは、ベルトのみで会話する。ダニー、頼めるか?』

「ジャンジャン、アイテムを詰め込んでいくから、覚悟しておけよ」





 それから二時間以上語り合い、装備品の最適化を済ませた。



 リュートは自分の持てる知識を活かし、特撮番組で見た装備を再現していく。

 いかに特撮で用いられる武器が、考えて作られているかがよく分かった。これは新しい発見だ。


 気がつくと、地下室がスッカラカンになっている。


「こんなもんかな。あとは明日のトレーニングで、実戦投下できるかチェックだ」

『それはそうと、結構装備が余ったな』


 相当数の装備を作ったが、リュートのアイテム欄にはまだ余裕がある。

 とはいえ作りすぎだ。

 最適化しすぎて、余剰パーツばかりが余っている。


「明日のテスト次第だな。出来次第では砕いて、再度アイテム化してしまおう」


 リュートの作ったアイテムは、他人に譲渡も可能らしい。


「必要なくなったら、売ればいい」


『そんなことまでできるのか?』

「錬金術がベースだからな、可能だぜ。機会があればやってみよう」




 こうして、コウガのアイテム強化は完了した。

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