私もさ、＜善意＞だの＜好意＞だの＜正義＞だのっていうポジティブな概念を盾に一方的に押し付けてくることはノーサンキューだと思ってる。

でも、だからって自分の方から、それを掲げてる誰かを攻撃しようとは別に思ってないよ。

自分が嫌なことをされたからってそれを他人にもやるっていうのはやっぱり筋が違うと思うんだ。

ましてや自分の親や身近な人間になんかされたからって他人に八つ当たりしようって、いや、やっぱおかしいよそれ。少なくとも私はそんな形で八つ当たりされたら納得できないな。

自分の親に過干渉を受けたとしても、それが原因で色々と抱え込んじゃったんだとしても、そんなの他人には関係ない話だからね。それこそ見ず知らずの他人だったら何の責任もないじゃん。なんで八つ当たりされなきゃなんないの？

当たり前の話だと思うんだけど、違うの？

そういうのは実際にやってきた相手に対して言うべきことだよね。親にされたんなら、親に言ってちょうだい。

私自身は、私の子供達に、過干渉みたいなことはしないように心掛けてきたつもりだよ。まあそうは言っても実際に子供達の方がどう思っているのか、これはもう本人にしか分からないことだけどさ。

ただ、現に、他人に八つ当たりしなくて済んでるのは事実だと思う。その点については、実はちょっと自慢だったりもしてる。

私の子供達は本当にすごくいい子達だよ。この場合の＜いい子＞っていうのは、決して＜親にとって都合のいい子＞っていう意味じゃない。いやまぁ総じて結果としては私にとって都合のいい状態にはなってるんだけど、それはあくまで私が、

『あの子達が他人を傷付けるような人でなければそれでいい』

って思ってるからだけどさ。別に、世の中の誰からも認められるような大変な功績を残す立派な人になって欲しいとは思ってないんだよ。本人がなりたくてなったならそれはそれでいいけど、私の方からそうなるように仕向けようとは思わない。子供達は私とは違う存在だからね。

私とは別の人格を持って、心を持って、考えを持って、それで生きてるんだ。何もかも私の思い通りになってもらう必要なんてないよ。私は子供達が幸せならそれでいい。そう思ってるから、必要以上に干渉しようとも思わなかったんだけどさ。

子供は＜道具＞じゃない。＜ロボット＞じゃない。＜ペット＞じゃない。＜家畜＞じゃない。親の思い通りにできるはずもない。

自分が作った子供だからって自分の思い通りにできるのが当たり前と考えてるとか、それが分からない。

まるで家畜のように自分の思い通りにできる、自分の思い通りにしていい、自分の勝手にしていい、なんて考えてるんだとすれば、それは自分の子供を家畜と同じように思ってるって事だよね。もし自分が家畜を産んだと言うなら、産んだ当人も家畜じゃないとおかしいでしょ。

人間は家畜を産まないよ。自分の子供を家畜のように考えるということは、自分自身が家畜と同じだと言ってるのも同然だと思うんだよね。

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