私が異世界物を書く理由
正直、現代においてこれは<夢物語>だろうね。今のAIやロボットの性能じゃ、到底無理だと私も思う。だけど、引きこもりやニートの問題は決して小さいものじゃなくて、有効な対応策は今後も切望されるだろうから
正直、現代においてこれは<夢物語>だろうね。今のAIやロボットの性能じゃ、到底無理だと私も思う。だけど、引きこもりやニートの問題は決して小さいものじゃなくて、有効な対応策は今後も切望されるだろうから
その後、主人公は、百三十歳で、彼女に見守られながら静かに人生を終えるんだ。
そして彼は、アリサに、感謝の言葉をかけつつ眠りにつく。
まあ、物語的にはもっとハッピーな形で幕をひくのが望まれるところだろうけど、やっぱり、両親をはじめとしたたくさんの人達に迷惑をかけてきた事実は消えてなくならないわけで、主人公自身も、そんな自分が当たり前の人並みの幸せを. 得ることに対しては、後ろめたさも強くあって積極的になれなかったんだよね。
これ自体、主人公が、<アリサによる育て直し>によって、<他人の痛み>を想像できるようになったからのものだった。
そうじゃなきゃ、きっと、両親や他人のことなんてお構いなしで自分だけ幸せになろうとしてたからね。
皮肉な話だけど、ある種の<報い>だったのかもしれない。主人公自身が自分に対して与えた、ね。
それでも、立ち直ってからの五十年は、主人公にとって幸せな時間だった。人生の半分以上を無為に過ごしてしまったけど、それすら些細なことに思えてしまうくらいにね。
ただ、アリサは主人公を救うことはできたけど、他の同様の事例においては、決してすべてが成功だったわけじゃない。むしろ主人公の事例が特にいい結果を得られたというだけでしかなかった。
それ以前のヘルパーロボットを利用した場合や、人間の<専門家>によるものに比べれば格段に良かったのも事実なんだけどさ。
でも、人間というのはまだまだ複雑で難しくて、さらにデータを蓄積していく必要があると改めて確認されたとも言える。
正直、現代においてこれは<夢物語>だろうね。今のAIやロボットの性能じゃ、到底無理だと私も思う。だけど、引きこもりやニートの問題は決して小さいものじゃなくて、有効な対応策は今後も切望されるだろうから、
<人間には無理な部分を負担してくれるロボット>
は求められ、開発が続けられるんじゃないかな。そして二百年もあれば、アリサみたいなのが実用化されても変じゃないかもしれない。
で、この世界においても、たくさんのアリサ達が膨大なデータを蓄積していって、さらに緻密な対応ができるようになっていくんだけど、人間の心というものは果てしなく深くて複雑で、その時その時、様々な問題に直面することになり、数百年数千年をかけても<完璧>には辿り着けない。
完璧には辿り着けないながらも、問題の解決を目指して不断の努力を続けていく。
たぶん、人間ってそういうものなんじゃないかな。
何だかんだと言われつつも、頑張るんだよ。どこまでも、どこまでもね。
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