私が異世界物を書く理由
アリサはロボットなんだ。見た目そのものは<不気味の壁>を乗り越えることに成功した美女そのものなんだけど、彼女は苦痛を感じない。悲しみも感じない。ストレスも感じない。そのために作られたロボットなんだよ
アリサはロボットなんだ。見た目そのものは<不気味の壁>を乗り越えることに成功した美女そのものなんだけど、彼女は苦痛を感じない。悲しみも感じない。ストレスも感じない。そのために作られたロボットなんだよ
ここからの描写は、どうしようかな。本心では、主人公の心底ロクでもない振る舞いを徹底的に描きたいという欲求もある。
だけどそれをすると、
『主人公が救われるのが許せない』
っていうのが間違いなく出てくるだろうな。
でもさ、そのための<ロボット>なんだよ。
アリサはロボットなんだ。見た目そのものは<不気味の壁>を乗り越えることに成功した美女そのものなんだけど、彼女は苦痛を感じない。悲しみも感じない。ストレスも感じない。そのために作られたロボットなんだよ。
人間そっくりのロボットが出てくるフィクションだと、読者や視聴者に感情移入させるためにいかにも<心>があるような描写がされると思うんだけど、今回の話では、その辺りの、
<人間とロボットのハートウォーミングな交流>
を描くのが目的じゃなくてね。もっとこう、それまでの<心理的なカウンセリング>を、<理学療法>的な、徹底した合理性の下で、
『こうすればこうなる』
というのをとことんまで突き詰めたものを提供する形にしたくてさ。
主人公の<理不尽な振る舞い>は、それこそ、
<凝り固まった間接>
とか、
<歩き方を忘れてしまった足腰>
とかと同じものと考えてさ。それをアリサが、少しずつ、少しずつ、ゆっくりと、でも確実にほぐしていって、<本来の機能>を取り戻させていくんだよ。
主人公は、人間としての精神活動において、<他者との関わり方>が徹底的に機能不全を起こしてた。<自分>というものをよく分かっていないから、結果として<他人>のこともよく分からない。主人公自身の<自我>が確立されてないから、それを基にした<他人を理解するための基準>ができてない。
『自分と他人は別の存在であって、自分の考えを押し付けることは、他人にとって苦痛になる』
ってのが、本質的に理解できてないんだ。
そりゃそうだよね。だって主人公自身、両親から徹底的に押し付けられてきて、ただただ言いなりになることを求められてきて、それでようやく得ることができた<自我>が、両親への反抗なんだもん。
主人公が、唯一、自身で獲得した<コミュニケーション方法>がそれなんだよ。
だけどそんなの、当然、他人からは白眼視される。不快だしムカつくし、単に甘ったれてるようにしか見えない。
だから共感してもらえない。理解してもらえない。でも、それまで、両親に対しておとなしく言いなりになってたら人間扱いしてもらえなかったんだから、たとえ<疎まれる>という形であっても、両親に自分にも<自我>があり<心>があるというアピールであるからこそ、それに縋るしかない。
でもさあ、そんな形で、
『自分は毒親の被害者だ!!』
みたいなアピールしたって、共感してくれる人は少ないよね。
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