人間の歴史の中で
何か犯罪が起きるとさ、 とにかく本人の資質だけの問題にして、
『親は関係ない』
ってことにしたがる論調があったりするじゃん。でもそれはおかしいっていう何よりの証拠があるんだよね。
それは、
『人間の歴史の中で、犯罪の発生件数は確実に減少した』
っていう事実だよ。
犯罪が本人の資質だけが原因だって言うなら、どうして減ったの? どうして減ったのか、説明できる? 中世と現代とでは、人間が何か別の生き物にでもなっちゃったって言うの?
違うよね?
じゃあ、何が変わったの? 何がそんなに変わって、犯罪発生件数が減ったの?
<環境>じゃないの?
人間が犯罪に走る何より大きな原因が<環境>にあるっていうことじゃないの?
その人を犯罪には走らせる<環境>、と言うか<環境要因>?があったからこそそうなったってことじゃないの?
もし、生まれつきの素養だけで決まるのなら、世界人口が十億だった頃より、七十億になった現代の方が、計算上では犯罪発生件数が七倍になってなきゃおかしいじゃん。
でも、実際には間違いなく減ってる。
なんで?
『本人の犯罪傾向に何らかの対策ができるようになった』
って言うんだったら、それは<環境要因>じゃないの?
『対応できる環境になった』
ってことじゃないの?
じゃあやっぱり、本人の素養だけの問題じゃないじゃん。
とにかく、
『自分には責任はない』
ってことにしたいから<本人の素養の問題>ってことにしたいっていうのがバレバレじゃん。だけど現実にはそうじゃないから、ただの<責任逃れ>ってのが見え透いちゃうんだよ。
で、その大前提の上で、上辺の<教育>だけでも、子供がどんな人間になるかっていうのは決まらないっていうのもあるはずなんだ。口先だけで言い聞かせて子供がまともに育つなら、世の中にこんなに他人に対する悪口雑言が蔓延してるわけないじゃん。
『他人に迷惑を掛けるな』
とか、
『他人に優しくしろ』
とか、その程度のことはほとんどの親が子供に対して言ってるでしょ? たぶん、言ってない親を探す方が難しいくらいに。
でも、実際にはめちゃくちゃ、
『他人に対してムカついてる』
人は多い。つまり、それだけ他人をムカつかせる、迷惑を掛けてる人が多いってことじゃん。
もっとも、実際には<迷惑>とか言えるレベルじゃなくて、ただ単に自分の思い通りにならないことで勝手にキレてる人も少なくないんだろうけどさ。
だけど、
<自分の思い通りにならないことで勝手にキレてる人>
が少なくないってのも、おかしいよね? 口先だけで『他人に優しくしろ』って言ってそれが子供に伝わるんなら、もっと思いやりに溢れた人が多くないとおかしいじゃん。
つまり、<口先だけの教育>以外に大きく子供の人格形成に影響する<環境要因>があるってことだよね。
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