めちゃくちゃ嫌われるだろうなあ
あ~、でも、これだと、シレーヌがめちゃくちゃ嫌われるだろうなあ。しかも、レオーナも、そんな我儘で無茶苦茶なことをするシレーヌの肩を持つようなことをするってことでたぶん嫌われる。
今の読者や視聴者、ううん、それに限らず世間の人の多くが他人の<やらかし>に対してひたすら厳しいってのがあると思う。
自分のことは棚に上げてさ。
確かに、シレーヌは大変なことをやらかしたよ? だけど、王子であることを傘に着て横暴なことをしていた第一王子と第二王子のせいで苦しんでいた人達がいたことは事実で、しかも、その後ろ盾になっていた貴族や商人達は、濫獲によってウンディーヌをはじめとした海に生きる者達から多くのものを搾取していたこともあって、シレーヌのおかげでそれが大幅に改善されるんだよね。
ただもちろん、やり方は好ましいものじゃなかった。
『目的のためなら何をやってもいいわけじゃない』
のも事実。自分達が正しいと思う法律や条例を通すために賛成意見を捏造していいわけじゃないっていうのと同じ。
だけど、そういう点での<報い>ということなら、
『想いを寄せていた王子の心は射止められず、さらには自分が後数年で死ぬという恐怖を味わう』
のだけで十分だと思う。
レオーナがシレーヌの肩を持つのも、<姉妹の情>に加え、彼女のしたことがウンディーヌのためになってたという事実を客観的に評価したからだし。その上で、シレーヌが受けた報いが十分なものだと思ってのことだし。
ただ、その辺りの説得力を持たせるにはそれに見合った描写も必要だよね。
となると、第一王子と第二王子の悪徳ぶりを描かなきゃいけないんだけど、最近はここで第一王子と第二王子が本当にどうしようもないクズみたいに描くと今度は、
『第一王子と第二王子を、主人公ageのための舞台装置にしてる』
みたいな難癖がつくんだよね~。
昔のフィクションでは、
『悪役はとにかくどこまでも憎たらしい悪役として描写するべき』
的な不文律があったように思うんだけど、今はそれ自体にケチが付くようになっちゃったからな~。
って、実は私自身がその不文律に対して違和感を覚えてる一人なんだけどさ。
『悪役はただ悪役であればいい』
っていうのが納得いかなくて。
だからってフィクションの悪役の描き方にケチはつけないけどね。ただ、悪役には悪役なりの事情があってそうなったんじゃないのかなって思っちゃうんだよ。
そんな風に考えることを、
『面倒くさい』
みたいに言う人も多いと思う。
でもさ、私の場合、そのおかげで自分の両親や兄や、私の夫を目の敵にしてた人を酷く憎まずにいられたっていうのもあるんだよね。
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