今見てるドラマ



 大体「スジ」のあるものが面倒臭くてしょうがないというタイプで、エピソード記憶が弱いので、ドラマとかを全体的に把握するのが苦手なのかもしれないが、ドラマというものはあんまり見ないほうです。


 ただ、土曜日の午後3時半からNHKのBS2で懐かしの「刑事コロンボ」を再放送していて、70年代のモノフリークなので、これは欠かさず見ている。


「ちびまる子ちゃん」も70年代もの、「ALWAYS3丁目の夕日」というのも70年代もの、で、70年代に郷愁を持っている人は結構多いのかも。


「刑事コロンボ」というのは知らない人も多いだろうが、よれよれのコートを着て、おんぼろの壊れそうな車に乗っていて、「うちのカミさんがね、・・・」、「あ、あともうひとつだけ」というのが口癖の、ユニークな、見のろまのように見えるダサイ刑事が実はものすごく俊敏な切れ者で、エリートの犯罪者の巧妙に仕組まれた完全犯罪を見事に暴いて解決する、という一話完結もののドラマシリーズで、放映当時には大変なブームになり、奥さんたちが「コロンボちゃんを見る会」とかファンクラブのようなものを作ったくらいに流行ったのです。


 大人になって改めてこれを見ていて、気が付いたのは、殺人が起こった後コロンボが登場した時に、一見完璧なアリバイとかに守られている犯人の犯罪を、既に「此奴がクサイな」と見破っているらしいところが面白いところである。


 このドラマは謎解きが最初に提示されていて、いや、謎解き全部ではないが犯人が誰かというのは最初の前振りで明らかになる仕掛けになっていて、視聴者には既に誰が犯人かは分かっていて、慇懃無礼な物腰のコロンボが、「このたびは御気の毒なことです」と犯人に多少口角が上がっているような表情で初対面の挨拶をするところで何となく共感と優越の混じったような感情を、視聴者が抱く、そこの面白さが子供の頃には分からなかった。


 芝居がかった身振りで、他の人が見落としている細かい重要な証拠に気が付いて、ちょっと滑稽な仕草でそれを「おやおやこれはなんだろう?」と吟味しているところも子供には十分面白味が分かっていたかと言うと疑問である。


「マリオと魔術師」というトーマスマンの小説で、大人たちが魔術師の、心理謎解きゲームに熱中しはじめるころに、「子供たちにはもうその頃にはショーは退屈になっていて・・・」というくだりに通じるものがあるように思う。


 大人になるということで分からなくなることもたくさんあるのだろうが、人生の星霜を経て、「コロンボ」の面白さが再発見できた、というので、そういう自己満足に浸りながら毎週「コロンボ」を楽しみに観ているのですー



(2014.5.19)






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