第665話 山桜桃海
山城真田家の妻妾や婚約者、子供の中には現役の学生が多い。
4月時点の学生は、以下の通り。
―――
大学院2年生:鶫 (24歳)
大学院1年生:小太郎、ヨハンナ (23歳)
大学3年生 :茶々 (21歳)
大学2年生 :松姫、千姫、アプト、井伊直虎(20歳)
大学1年生 :お初 (19歳)
高校3年生 :京極マリア (18歳)
高校2年生 :楠、お江、姫路殿 (17歳)
高校1年生 :朝顔 (15歳)
中学2年生 :伊達政宗 (14歳)
小学校5年生:愛姫、愛王丸、今川範以 (11歳)
小学校4年生:与祢 (10歳)
小学校2年生:摩阿姫 (8歳)
小学校1年生:豪姫、伊万(7歳) 井伊直政(6歳)
幼稚園年長:与免 (5歳)
幼稚園年中:累 (4歳)
幼稚園年少:デイビッド、元康 (3歳)
保育園 :心愛(2歳) 千世(1歳)
―――
この内、3月時点で、
大学4年生:甲斐姫、幸姫
高校3年生:珠
は、進学を選ばず、山城真田家に就職した。
万和6(1581)年3月30日。
この日は、新入生を対象とした交流会の為、朝から京都新城は、人が少なかった。
幼稚園や保育園には、芳春院やお市、エリーゼ、謙信も行っている為、現在、城に残っている女性陣は、
・綾御前
・早川殿
・ラナ
・ナチュラ
・稲姫
・誾千代
・阿国
と先述の3人の合わせて10人だ。
妊娠中の早川殿と誾千代は、眠たい目をこすりつつ、寄り添う。
「「貴方♡」」
「誾、春♡」
大河は、2人の頬に接吻し、そのお腹を優しく撫でる。
大河の膝には、いつも居る朝顔や甘えん坊のお江や豪姫、与免が学校に行っている為、居ない。
なので今回、この位置を勝ち得たのは、
「「「ふふふ♡」」」
稲姫、甲斐姫、幸姫の3人であった。
背中には阿国、ラナ、ナチュラが居る。
3人は大河に抱き着き、
唯一、溢れた珠は女官に徹し、甘えることはしない。
「珠、皆が帰るのは?」
「予定では、夕方頃かと。昼食会を兼ねた
沢山の名家の生徒も在籍している為、顔合わせ会の意味を込めて、親睦会があるのだ。
「了解」
手を伸ばして、大河は、珠の手を握る。
「若殿?」
「甘えるのも仕事だ」
「……はい♡」
誾千代が脇により、余ったスペースに珠が入る。
「立花様、ありがとうございます」
「良いのよ。珠ちゃんだしね」
普段、家事や育児などに奔走する女官を正妻は、可愛がっていた。
珠が
努力が報われる。
それが、山城真田家だ。
早川殿が尋ねる。
「真田様、お昼はどうしましょう?」
「昼は、綾がへぎそば作ってくれるらしいよ」
越後国(現・新潟県)の郷土料理の一つであるそれは、綾御前の得意料理だ。
噂をすれば影が差す。
「お待たせ~♡」
綾御前が、作り立てのへぎそばを持ってきた。
新潟県は魚沼地方が発祥のそれは、『
「おお、美味そう」
「『美味そう』じゃない。美味いの」
綾御前は、断言すると、大河の腕を握る。
作っている間、その感触を喪失していた為、それを思い出すように、ニギニギ。
大河は、丸太を担ぎ上げるかの如く、3人を抱っこする。
「真田様、力持ち♡」
稲姫は、首に抱き着いて接吻する。
結婚するのであれば相手は父・本多忠勝のような男、と決めていた彼女にとって、大河は理想とは程遠い外見だが、それでも好みであった。
「大好きです♡」
「俺もだよ」
護衛対象者の千姫が江戸城に居る間、稲姫は、京都新城で羽を伸ばすことが出来る。
「はいはい。そこまでよ」
誾千代が割って入った。
今にも合体しそうな雰囲気だったから当然のことだろう。
「貴方♡」
「分かってるよ」
着席した大河は、左脇に入った誾千代にへぎそばの食事介助を始めた。
稲姫、幸姫、甲斐姫は、膝の上で食べ始めた。
誾千代に譲る選択肢もあるが、今は食欲が優先だ。
大河は、右脇の早川殿や肩に顎を乗せてせがむナチュラ、ラナ。
右横の阿国、左横の綾御前にも行わなければならない。
「若殿……」
「珠は後でな?」
「はい……」
珠も甘えたいが、大河は正妻と側室で手一杯な為、こちらにまでは回ってこない。
昼食後、一行は天守でゆったりと過ごす。
外出しても良いが、一応は留守番なので、流石に大手を振って出歩けない。
なので、こういう日も良いだろう。
誾千代と早川殿は、満腹中枢が刺激されたのと、妊娠による強烈な睡魔により、眠ってしまう。
「「zzz……」」
もう少し、2人と語らいたかった大河だが、流石に睡眠を邪魔する度胸は無い。
「(お休み)」
消灯し、名残惜しそうに寝室を後にする。
身重の2人がダウンした今、残りの8人は、大河を独占出来る好機を得た。
1番積極的なのは、ラナだ。
普段は、公務で忙しく何も出来ていない分、ここらで
大河に真正面から抱き着くと、
「(お散歩、行こう?)」
「どこに?」
「あ、いいんだ?」
「断る理由が無いからね。よっと」
「あら、力持ち♡」
細腕にも関わらず、ラナを担ぎ上げる。
もう1本の腕は、ナチュラに触手のように伸びていく。
「若殿?」
「ナチュラは我慢しすぎ。もっと
「! ……は」
見透かされていたことにナチュラは、恥ずかしがる。
鶫や珠に譲り、最近はあまり大河と濃厚接触していなかったのだが、主君は、ちゃんと見てくれていたようだ。
大河は、2人を抱えて背中に抱き着いた綾御前を振り落とさないように慎重にしつつ、
・稲姫
・甲斐姫
・幸姫
・阿国
・珠
もカルガモ親子のようについていく。
東屋に入ると、桜の花びらが多く落ちていた。
風に舞ってここまで飛んできたのかもしれない。
大河は、椅子に座る。
背中の綾御前は、下りない為、そのまま大河と壁に挟まれた。
「うふふふふ♡」
挟まれても尚、離れないのは相当な思いの強さだろう。
「長尾政景とはこんなことしてた?」
「……どうだろう?」
「嫉妬しちゃうなぁ」
大河は、傾いて綾御前を更に追い詰める。
「大丈夫。今は貴方としかしないから♡」
綾御前も更にベタベタ。
その間、左右には、稲姫と幸姫。
左脇、右脇にも阿国、甲斐姫が滑り込むように入る。
そして、4人は、大河の膝の間に珠を座らせた。
「え? いいんですか?」
「さっき我慢してくれてご褒美よ」
稲姫は微笑んで、珠を大河に押し付ける。
「あ……」
大河の胸板に頬が当たり、珠は微笑んだ。
背後に左右に両脇に膝の間と、人口密度が凄まじく高いが、一同は苦にする感じは無い。
鬼の居ぬ間に洗濯、という訳ではないが。
彼女たちは普段、正妻に配慮し、我慢している立場だ。
正妻が居ない間、激しく甘えても何も問題は無い。
桜が吹き込んでくる。
その
[参考文献・出典]
*1:ウィキペキディア
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