第18話

「さて……」



 破壊された壁穴の向こう、そこは所謂倉庫見たいな場所だった。

 いくつもの長い木の棚が並び、その棚には色んな柄の液体が入った小瓶や剣など、ホコリを被って置いてある。

 

 いよいよどっかの城の中にでも迷い込んだ気がしてきた。

 上と比べると施設的な面が強くなってきているとことは、本当に最深部も近そうだ。

 

 とっ――。

 

 ここでなにか回収できそうなものはないだろうか?

 正直、ホコリを被ってロクなものは期待できそうになさそうだが……。

 そう思いながらも、暗い倉庫みたいな部屋をクラウ・ソラスで照らしながら進む。

 

 そうしていると、再びサラが俺のコートの裾をツンツンと引く。

 

 

「どうした?」

「ん」

「あん?」



 指を指されたのは誇りを被る棚の上、ではなく――壁際につるしてある何か?

 何か……。

 干し肉なのか?

 

 照らして見るとソレは何かの肉だった。それが干してありホコリを被りシワシワになっている。

 

 

「ごはん……」

「――ホコリまるけだぞ?」

「ん」

「はいはい」


 早くくれと言わんばかりに両手を伸ばし膨れる。

 仕方ないので、俺はかかっている何の肉か得体のしれないソレを取ってサラに渡す。

 

 小さな両手で渡されたソレを掴むと、ジーっと睨んで。


 何してんだ、コイツ。流石にホコリまるけで食えんだろうに。

 

 そう思っていると。

 

 

「ウィレッシュ――」

「はあ?」



 サラの手元が青白く光を発するとその光は弾け迸る。そうして、光は消えると手にしていた干し肉はホコリの被っていない出来立てのもの同然となった。

 それを無表情のままハムハムとハムつく。


「今のは?」


 

 つい声が漏れてしまったが。サラに問う。

 


「魔法」

「魔法?」

「因みに聞くけど、それ何の肉だ?」

「わかんない……」

「分からんのに食べているのか……」



 まあ、干してあるところを見ると食べれなさそうではあるが……。

 

 

「一応訊いておくが、ここ物で知っている物で役立ちそうなものはあるか?」

「ハムハム――んくっ……。ポーション」

「ポーション?」



 指を指された場所は棚だ。

 その上に乗っている化粧品のようなガラスの小瓶。

 手に取って被っているホコリを払うと、真っ赤な赤い液体が入っているようだ。

 

 これがポーション。

 ゲームとかならHPが回復したりする代物だけど……。この世界の場合どうなんだ?

 

「効果は?」

「のんでケガ、治る」

「俺が知っている物とさほど変わりはないか……」

「ん、ちょうだい」

「ほら――」

「んー、違うあっち!」


 あーハイハイ。干し肉ね。

 ポーションが欲しいのかと思い差し出してみたが全力で否定されて、指を指す干し肉の方を苦笑しながらも何枚か複数とって再びサラに手渡した。

 


 それを再び魔法で洗浄すると、一切れ口にくわえる。

 そうして。

 

「ん」

「俺に?」

「うん」



 差し出された干し肉を受け取り、少し戸惑いながらも口にくわえる。

 噛み締めて、味を見てみると。

 

 

「あ……。うまいなこれ」


 上手い。味はジャーキーのような感じで、スルメのように少し硬く歯ごたえがあってよく味が染み出る。

 サラがハムハム噛み続けるのも分かる気がする。

 

 干し肉をイメージしてソードクリエイトしたら同じモノ出せないだろうか?

 まあ、そのうちだ。



 俺も干し肉をハムハムしながら倉庫を探索する。

 

 

「それにしても、いろいろあるな……」



 剣や槍などの装備品に、ポーションなど得体のしれない薬。果ては本に……金?

 ハムハムして歩いて回ると、低い棚の上に大量の丸い金色の金属が大量に広がっているのを見つけた。

 

「これは……」


 手に取り誇りを払うと、どうやら硬貨のようなモノのようだ。実際どうだか知らないが……。

 そう言えば、この世界の街はどうなっているのだろう?シャルロットは国の騎士だったっか。部隊の規模や装備から考えるとそれなりに大きな国そうだが……。

 ダンジョンを出た後は街のギルドに行くつもりだから、お金は必要だろう。

 この辺で金品になりそうなものは回収していくか?

 

 

「お金?」



 俺の持つ硬貨を見てサアラがつぶやく。

 

 

「金なのかこれ?」

「うん」

「そうか……いや待て、なんでそんなこと知ってるんだ?」



 記憶喪失じゃなかったのか……?

 

 

「さあ?」

「さあって……」

「お金」

「分かったって」



 記憶を失っても基本的な知識は残っているのだろうか。強引にそうだと言い張るサラに言われて、俺は大量にある金貨を集める。

 

 

「なあ、この辺を魔法で綺麗にしてくれないか?流石にホコリを払いながらは集めずらいぞ?」

「わかった」



 頷いて、干し肉を食べきって、他の物は棚に置き両手を広げて向け魔法を使うサラ。

 青白い光は瞬き輝いて、収束するとホコリは消え辺り一帯は綺麗に掃除した後のようになった。

 

 

「これでいい?」

「ああ」


 

 早速集めよとすると、

 クイクイ――。

 サラにまた引かれると。

 

 

「お肉も」

「はいはい」



 干し肉も集めることをご所望のようだ。

 俺はサラに言われるまま、スタスタと集め始める。

 

 

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