千堂アリシア、衝動買いをしてしまう
実を言うとその後も、何度か
ロボットである千堂アリシアのカメラのモードを切り替えると、修復された部分がやはり違って見えたりもするものの、クグリが扮したと思しき酔客の正体を見破れなかった自らに対する戒めの意味でも、彼女にとっては意義のあるものだった。
けれど、それとは別に、新作ドレスに魅了されてしまい、
「あのドレスをお願いします!」
店に飛び込んで思わず注文してしまった。
すると、アリシアが千堂にドレスを買ってもらった時のデータが残されていて、サイズについても完璧に把握され、注文ができてしまったのだ。
カスタマイズでもしない限り体形が変わることがないロボットの利点である。
それに今は、<ドロシーmk‐6>の姿なので、採寸などしても意味がない。
とにかく、支払いは電子マネーで済ませ、千堂邸の千堂アリシア宛に発送してもらうことになった。
これにより残高が大きく減り、余計な買い物をせずに済むだろう。
なお、今でもオンラインアトラクションの<ORE-TUEEE!>はプレイを続けている、ストーリーを進めず日常プレイを続けているのでレベルの上昇は緩やかだったものの、すでにラスボス戦でもまったく苦労することはないであろうレベルにまで到達してしまっている。ナニーニとコデットのレベルもとんでもないことになっていた。アリシア自身はクローズドでプレイているものの、もしオープン状態で他のプレイヤーとコミュニケーションを取っていたら、
『廃プレイヤーだ!』
と言われかねないくらいには。何しろ課金もしつつなので、
『重課金しながら日常プレイを続けている』
などというプレイヤーなどほとんどいないのだ。淡々と日常プレイを続けているのは、最初のコンポーネント部分を購入した以外には課金しない者が普通である。
アリシアのそれはある意味では偏執的なプレイとも言えるだろう。別にアリシア自身にはそのつもりはなく、電子マネーのシステム上仕方なく課金しているだけに過ぎないが。
というのは余談なので脇に置くとして、思いがけずとはいえ、アリシアもショッピングを楽しむ結果になったのは、僥倖かもしれない。
あまり物欲には関係ない彼女だったものの、たまにはこういうこともあるということだ。
そしてアリシアは、上機嫌で<オックスフォード・スクエア>を散策したのだった。
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