サバイバルゲームチーム<ラビットマン>のメンバー、協力を申し出る
しかし、<遠隔リンク試験>を現在も続けている<アンブローゼ>の行政担当者に確認を取ると、
「こちらで作動することになるメイトギアの管理責任者が同行する形であれば、法規上は特に問題ないと思います」
という、実にあっさりとした返答だった。
まあ、基本的にその辺りでは無暗に厳しいわけではない都市であるがゆえに、<遠隔リンク試験>が行えていたというのもあるのだが。
「というわけで、まずはアンブローゼから始めてはどうかと思うんだが、どうだろう?」
千堂の言葉に、
「はい! それでお願いします!」
アリシアも上機嫌だった。
こうしてまずは<アンブローゼ>を旅行することになったのだが、リンクを行うためのメイトギアの選出時、
「そういうことなら、俺んとこの<アイシス>を貸すぜ!」
「いやいやそこは、俺の<ルシス>だろ!」
「なに言ってんだ! 俺の<バーディ>一択だ!!」
遠隔リンク試験に協力してくれているサバイバルゲームチームの一つ<ラビットマン>のメンバーらが色めき立つ。
<アリシア2234-HHCアンブローゼ仕様>にリンクしてい千堂アリシアが、
「アンブローゼをリモートトラベルで旅行するために協力してくださる方を探しています」
と口にした途端に、次々と立候補してくれたのだ。その様子に、アリシアは、
「ありがとうございます。嬉しいです♡」
深々と頭を下げた。こうして、
「じゃあ、あみだくじで決めよう!!」
という話になって、
「うおっしゃーっ!! 当たりぃーっ!!」
そう声を上げてガッツポーズを決めたのは、<ラビットマン>のサブリーダーである、
<
だった。身長一八二センチ。一見すると痩せているようにも見えるがそれは体を極限まで絞っているからであって、実はアスリートと見まがうばかりの体形をしている。
職業は役者。と言っても、端役ばかりで役者の仕事だけでは食べていけないのでバーテンの仕事の方が本業に近いようなそれだったが。
「へっへっへ~。俺んとこのメイトギアはそれこそ同じアリシア2234-HHCのアンブローゼ仕様だからな。当然の結果だぜ!」
「くそ~!」
「ふざけんな~!」
悔しそうにする他のメンバーにも、アリシアは、
「でも、右琉澄さんが都合が悪い時には他の方にもお願いすると思いますから、まだチャンスはありますよ♡」
と告げる。
「おお!」
「確かに!」
そう他のメンバーも気を取り直したのだった。
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