秀青、千堂京一に連絡を取る
医療が高度に発達したこの時代でも、まだ<死に至る病>というものはある。
特に
そして現時点では、外科手術を用いる以外にない。
もっとも、<外科手術>と言っても、現在のそれは大半がマイクロマシンの集合体である専用のカテーテルを用いたものであり、いわゆる<開腹手術>とされるものは滅多に行われない。今回の
なお、カテーテル自体がマイクロマシンを用いたロボットでもあり、専用の装置であれば直接リンクして遠隔地の医師が操作することもできる。
ただし、その場合、これまでにも何度も触れたようにほんのわずかとはいえラグが生じるので、特に繊細な操作を求められる場合には、万が一を恐れ患者を医師の下へと搬送することが多い。
医師側としても<万が一>があってほしくはないからだ。
しかし、現在、
<
非常に愚かしいことではあるものの、これもまた人間という生き物が持つ<業>と言えるのかもしれない。
とは言え、簡単に諦めるわけにはいかない。<最善の策>が取れないなら<次善の策>を用いるだけだ。だから、
「む……?」
私用電話については受け付けない設定にしてあった携帯端末が着信を知らせてきたことで、会議に出席中だった千堂は、
「失礼、緊急の連絡が入りましたので」
そう告げて会議室を出た。その上で着信画面を見て、
「秀青君……? 何事だろう……」
呟きながら通話ボタンを押す。すると、途端に、
「千堂さん! 人命にかかわる緊急事態につき、非礼を承知で連絡させていただきました! すいません!」
緊張した様子の声に、千堂も、
「構わない。何があった?」
単刀直入に尋ねる。それに対して秀青も、
「
用件だけを伝えてきたのだった。
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