火星の気象、今では地球と大きく違わない
こうして基本的にはのどかな空気が漂う
低気圧がとてつもない勢いで発達し、いわゆる<爆弾低気圧>と呼ばれる超大型台風並みのそれに変化していたのである。
元々は大気が薄くとても多様な生物が住めるような環境ではなかった火星も、大規模なテラフォーミングにより豊かな自然環境が実現されたのだが、同時に、地球でも見られるような災害級の気象現象も再現されるに至っていた。今回のもその一つだ。
もちろん、それに備えて様々な対策は取られているものの、これは当然、都市部に集中しており、
これは、地球において強風被害が比較的に少ないとされる地形を参考にして作られたもので、実際に強風が吹き抜けないことにより竜巻等の発生も抑制。効果を発揮している。同時に、三度の火星大戦の際にも堅牢な防御としての役目も果たした。加えて、
基礎部分がシェルターでもあり、防波堤でもあり、各種実験を行うためのプラントでもあったのだという。
現在の
『約六階建ての超巨大な構造物の上に都市が築かれている』
状態とも言えるだろう。現在の
ちなみに、大規模輸送網はその<地下施設>の一部として構築されており、地上に見える交通網は、あくまで日常的な範囲での移動手段である。イメージとしては、総延長数百キロのコンベアが地下で二十四時間常に稼働し続けている感じだろうか。その下に、AIで制御された自動車しか利用できない、信号が一切ない自動車専用道が張り巡らされている。
これにより、地上部分(と通常は思われている部分)の交通量は、決して少なくはないものの常に渋滞を引き起こしているほどのものでもない。電車もすべて高架の線路を走り、<踏切>と呼ばれるものも存在しない。
極めて計画的に効率的に作られた<要害堅固な都市>なのだ。
ゆえに今回の爆弾低気圧についても、都市としての
『外出の際には強風に気を付けてください』
『ベランダ等には飛ばされやすいものは放置しないようにしてください』
と呼びかけられる程度のものでしかなかったりもする。
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