騒ぎに乗じてよからぬことを目論む輩、レイバーギアに鎮圧される
そんなこんなで騒ぎが沈静化に向かう気配もありながらも、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>とは一切関係なく騒ぎに乗じてよからぬことを目論む輩も、当然、いる。<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>としてもその手の輩が混乱に拍車をかけてくれることも計算に入れていた。
なので、各地で略奪行為なども発生。そういう意味での状況は芳しくなかった。
もっとも、そちらについてはそれこそ、警備用のレイバーギアの出番である。
たとえ暴徒が相手でも積極的に攻撃はしない代わりに、拳銃で撃たれようがテイザー銃で撃たれようが鉄パイプで殴られようがまるで堪えないように作られている警備用のレイバーギアが相手では、暴徒など、行儀の悪い子供以下の存在でしかない。
火柱が上がった個所に周囲のレイバーギアが駆け付けたことで警備が手薄になった店舗などを狙って略奪行為に及んだ者達もいたものの、状況が進みレイバーギアの配置についても見直しができるようになってくると、略奪行為が行われている現場にレイバーギアが駆け付け、現行犯についてはその場で取り押さえるようにもなっていった。
「畜生! 離せ! このロボット野郎が!! 人間の言うことを聞け!!」
などと、己の行為を棚に上げて吠える者もいるが、当然、そんな<命令>は聞かない。『人間の言うことを聞く』のは、『人間が不法な真似をしても見逃す』という意味ではないのだ。
暴徒で略奪者という人間であっても傷付けないように丁寧に対処はするにせよ、<罪>は<罪>。話はまったく別である。
なお、テロリストなどを特殊部隊仕様のメイトギアが<拘束>することと、警備用や警察用のレイバーギアやメイトギアが容疑者を<通常逮捕>することもまた、法律上はまったく別の行為とされている。
<テロリストの拘束>は、法律上の<逮捕>を行うまでの間の危険を回避するために行われるものであり、暴徒や略奪者を取り押さえるのもそれに近い。対して<逮捕>は、あくまで<逮捕権の行使>を差し、ロボットには逮捕権が与えられていないので、危険回避のための拘束は行えても、逮捕はできないのだ。
なお、人間の場合は、現行犯を取り押さえる際の<私人逮捕>というものが認められている。一方、ロボットは人間ではないので、<私人>という扱いにもならないとされていた。
この辺りは法律の運用上、なかなか複雑な判断が絡んでくる部分でもあるため、ままならないこともある。
さりとて、今のところは、完全に現行犯であれば、ロボットでも取り押さえることはできているということだ。
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