サーペントの隊員、元軍人の男の装備を察知する

サーペントの装備であれば、カメラ付きのゴーグルが捉えた映像をAIが解析、相手がどんな武器を所持しているかまでかなり正確に捉えることができた。なので、<元軍人の男>についても、全身の映像を捉えられた一瞬で、


『四十五口径の拳銃一丁。他は、ナイフを所持の可能性。重火器を携帯している可能性はありません』


と推測されていた。身に付けているものの形状と、動いている時の重量バランスで、それが判明してしまうのだ。そしてこの時の<元軍人の男>についても、拳銃以外はいくつかの弾倉とナイフくらいしか隠し持つことができないのは見抜かれていたのである。


また、周囲に何らかの武器を隠している可能性も考慮されたが、少なくとも爆発物や重火器の反応はやはりなかった。さりとて、センサーをかいくぐることのできる何らかの武器が隠されている可能性については否定できないため、用心は怠らない。


加えて、仲間が<まぐれ>とはいえ喉に銃弾を受けてその衝撃で意識を失ってしまったように<不運>が襲うことも想定。焦らずに冷静に対処することを心掛ける。


幸い、銃弾はまだ十分にある。口径は決して大きくない自動小銃とはいえ、自分達が身に着けているような防刃防弾スーツではない精々民生品の防弾ベストくらいしか身に着けていない生身の人間相手であれば、向こうの銃の弾丸が尽きれば恐れるに足りない。弾切れを待って確実に優位に立つことを考えればよかった。


周囲はドローンが警戒しており、相手側の応援が駆け付けるとしてもそれを事前に察知することも可能だ。


すぐそばのビルの陰に一体、メイトギアがいることも確認できているが、主人が近くにいないのか、周囲で非常事態が発生していることにより待機状態になっているらしく動いていない。つまり、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>側のメイトギアではないということだ。


ちなみに、人間であれば無条件に守ろうとするメイトギアであるものの、警察や軍が容疑者を確保しようとしている場合まで邪魔されては困るので、一般的には、作戦開始と共にそれを報せる信号が発信され、邪魔をさせないようにはなっている。


実は、今の警察や軍が、初手で容疑者を射殺しようとしないのは、それも理由の一つだった。事情を知らないメイトギアが近くにいると、容疑者を庇うために動くこともあるのだ。


逆に、容疑者が攻撃しようとしてもメイトギアが警官などを庇ってくれたりもするのだが。


いずれにせよ、ロボットに作戦の邪魔をさせないための信号を発信する暇もない状態で銃を使うと思わぬ邪魔が入ることもあり、有効ではないのである。


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