ゲイツ、不自然さを覚える
こうして仲間のサイボーグ二人と一緒に<仕事>に出たゲイツは、途中で彼らと同じく今回の仕事のための雇われたゲリラ達と合流、標的がいる場所へと向かった。
その数、ゲイツらを含めて三十二名。車両十二台。しかも二名のサイボーグもいる。ゲイツらと合わせて五名のサイボーグ。
『ちょっと大袈裟すぎやしないか……?』
ゲイツはこの時、不自然さを覚えた。標的はたった一人。しかも、大企業の重役という、こぎれいなオフィスでご立派な椅子にふんぞり返っているだけの豚のような人間だろう。それを始末するだけなら、本来、ゲイツ一人でも過剰なくらいだ。
『やべえ護衛がいるってことだろうな……』
そう思い、
「今回の仕事、油断できねえかもしれねえ。気ぃ引き締めていけよ」
と、仲間のサイボーグに声を掛ける。
「おう!」
「任せな!」
二人は、拳を掲げながら応えた。
が、そこに、あの<サイボーグの男>の姿はなかった。
「おめえは向こうの仕事を頼む」
そうゲイツに言われ、別の仕事へと向かったのだ。
『あの小僧にゃこっちは荷が重いかもしれねえな。我ながらいい判断だ』
まるで子犬のように自分に懐いている若いサイボーグの男について、ゲイツはそんなことを考えていた。
そしてついに、標的を確認。
「戦闘用のラブドールか……」
ゲイツは、自身に搭載した望遠カメラで、標的の護衛らしきラブドール(メイトギア)を確認した。
と、同行していたゲリラが、レーザー誘導式の携帯式ミサイルを放つ。普通ならもうこれで終わるはずだった。なのに、
「何!?」
ミサイルが途中で爆発したのである。改めて望遠カメラで確かめると、メイトギアがチェーンガンらしきものを装備してるのが分かった。それで迎撃されたのだ。
しかも、続けてこちらに向けてチェーンガンを放ってくる。恐ろしく正確な狙いで。
「くそっ! 伏せろ!!」
ゲイツは仲間に命じて、自分も車両から飛び降りて地面に伏せた。
だが、この一斉射だけで、携帯型ミサイルと携帯型ロケット砲を装備したゲリラ数人とサイボーグ一人がやられ、車両二台が破壊された。
「ちいっ! どこのラブドールだ!? イかれた性能してやがる!!」
確かに、戦闘用のメイトギアであれば、重火器を扱うのもお手の物だろう。しかしチェーンガンでこれほど正確な射撃を行えるものは彼の知る限りでは思い当たるものはなかった。なにしろ、わざわざメイトギアにそんな性能を与えなくても、戦闘用のレイバーギアやアームドエージェントという、もっと戦闘向きのものがあるのだ。メイトギアにそこまでの性能を与える意味がないのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます