警察用メイトギア、最大限のパフォーマンスを発揮する

「このクソどもがぁっっ!!」


サイボーグの男は吠えながら警察用メイトギアに組み付き、ついに頭を捩じ切ることに成功した。


しかし、メイトギアの頭部に収まっているのは、各種センサーと通信装置がほとんどなので、すぐさま機能を失うわけじゃなかった。しかも、他のロボットと連携するための通信装置は胴体側にもあり、それによりもう一体の警察用メイトギアと連携。失ったセンサーをそちらのもので補うことで動作を続けた。


このため、


『首のない警官がロボットと戦っている』


光景にも見えて、ロボットに詳しくない者が見れば軽く<ホラー>だったかもしれないが。


さりとて、さすがにセンサーを他の機体のもので補うという形では動作の正確性が格段に落ち、サイボーグの男に引き倒されて胴体部を力一杯踏みつけられたことでメインフレームにダメージを受け、


『警告。重大なエラーが発生しました』


のメッセージが、管理している警察側のモニターに表示されて、機能停止してしまった。


「やむを得ない! いったん下がれ! 軍に応援要請を出す!!」


警察本部からの指示を受けて、人間の警官達は、


「Shiiiiit!!」


悪態を吐きつつ、無事だった方のパトカーに乗り込んで、猛スピードでその場を離れた。パトカーを制御するAIが、警官達の安全を最優先する。


もう一体の警察用メイトギアを残して。


人間の警官達を安全に離脱させるために残されたのだ。そして警察用メイトギアは、その使命を果たすために己のパフォーマンスを最大限に発揮、サイボーグの男に挑みかかる。


が、戦闘用のレイバーギアと渡り合える高出力を得るために違法改造したサイボーグを一体の警察用メイトギアだけで抑え切るのは無理があった。


膝関節を狙ったローキックを捕えたサイボーグの男は、


「ぬるいぬるいぬるいぜぇーっっ!!」


二対一だとやや攻めきれなかったどころか若干押され気味だったクセに、優位になったと察した途端に気が大きくなり、勝ち誇った。


とは言え、確かに、出力で劣る警察用メイトギア一体では振りほどくこともできず、足をへし折られ、それでも立ち向かうものの、猛烈なタックルを受けて道路に倒され両腕を立て続けに折られて抵抗できなくなったところに、胸のメンテナンス用ハッチをこじ開けられて内部のメインフレームを滅茶苦茶にかき回されて破壊され、ついに機能を停止してしまったのだった。




一方、その頃、ゆかりに逃げられた<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>メンバーは、アジトを移動しつつ、彼女の姿を探した。


もっとも、腹いせに<始末>したかっただけで、もうすでに始まってしまった<計画>には特に支障はなかったのだが。


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