サイボーグの男、警察用メイトギアと格闘する
いずれは軍が出てくる可能性も承知しつつ、サイボーグの男は、ニューオクラホマ市警が運用する男性型メイトギアを相手に、大立ち回りを繰り広げていた。
一見しただけだと警官とレイバーギアが戦っているようにも見えるが、実際は逆である。警官の制服を着ている男性に見える方がロボットで、レイバーギアにも見える方があくまで全身を<義体>に置き換えたサイボーグなのだから。サイボーグは、違法改造を受けた者であっても、一応、人間として扱われる。
それもあり、サイボーグの男が一方的に男性型メイトギアを攻撃している光景のようにも思えるものの、警察用のメイトギアは<戦闘モード>を持たないので、仮にも<人間>であるサイボーグの男を直接攻撃することができないだけだ。原則、サイボーグの男が人間の警官や通行人に危害を加えないように<盾>として攻撃を受け止めているだけである。
一方、警官の方は、ショットガンまで持ち出して、サイボーグの男に発砲した。
とは言え、<ライアットガン>と呼ばれる、暴徒鎮圧用のゴム弾を撃ち出すものだったため、サイボーグには十分な効果がなかった。生身の人間相手だと、至近距離だったり当たり所が悪ければ普通に死に至ることさえあるものだが、さすがに装甲されたボディを持つサイボーグ相手だと厳しい。
それでも、警官達も心得たもので、体ではなく、頭部目掛けて発砲する。生身の人間だと死亡する危険性も高くなるそれも、サイボーグならまずその心配もない上に、衝撃でセンサー類を破壊したり、<脳>を持つサイボーグだからこその、
『脳震盪を起こさせて無力化する』
ことを狙っているのだ。もっとも、全身義体のサイボーグの場合は、頭部に脳を収めているとは限らないが。そこまでの改造は違法とはいえ、戦闘力を上げるために、弱点を減らすために、それに踏み切る者もいる。
頭部にゴム弾の直撃を受けて頭を弾かれたサイボーグの男は、
「くそがあっ!!」
激高し、ライアットガンを構えた警官目掛けて殴りかかろうとした。しかし、メイトギアがその前に立ちはだかって、拳を払いのける。
なお、戦闘用の高出力サイボーグは、体そのものが銃器と同じ扱いの<武器>なので、警察用のメイトギアであっても叩き落とすような対応ならできる。さりとて、生身の人間が銃を手にしているのを叩き落とそうとすれば怪我をさせる危険性もあるので、基本的にはできないのだが、全身義体のサイボーグであればその心配もないというわけだ。
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