ニューオクラホマ市警、対応に追われる

一方、逃走犯達は、街に仕掛けた発火装置を次々に作動させ、ニューオクラホマ市警はその対応に追われ、岩丸ゆかりの捜索・救出については人員を割くこともできなかった。


発火装置の炎が火災を引き起こした箇所もあり、消防隊もフル稼働となる。


とは言え、火星では、都市作りがまったくの新規で行われたことに加え、ドーム状の都市を築いた頃にはそれこそ火災など出そうものならドーム内に一酸化炭素が充満し住人が死に絶える危険性が高かったため徹底的に防火対策を施した結果、使用される建材等はほとんどが難燃性の高いものであり、簡単には火災が起こらないようになっているが。


火星そのものをテラフォーミングすることで地球と同じように暮らせるようになってもそれは大きくは変わっていない。


このため、火災が広がることもなかったが、対処しなければならないのは変わらない。


配信されるニュースのライブ映像を、逃走犯達はニヤニヤしながら見ていた。そしておもむろに男の一人が、携帯端末を操作し、メッセージを送信。送り先は各マスコミであり、文面は、


『我々の警告を聞き入れぬ愚かな者共よ。ロボットの下僕となり果てたお前達には、鉄槌が下されるべきと我らは判断した。


しかし、今ならまだ間に合う。すべてのロボットを破壊し、廃棄せよ。我々は、ロボットに支配されたこの世を正し、人類に真の夜明けをもたらす聖なる戦士である』


という内容だった。


そう、この逃走犯達こそが、


<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>


である。




なお、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーらがニュース映像で悦に入っているその時、岩丸ゆかりは、すでに意識を取り戻していた。そして自分が囚われの身であることを理解。意識を失ったふりをして、自身の携帯端末を操作。緊急信号を兄に向けて発信した。


そしてその緊急信号は、同時に、<都市としてのJAPAN-2ジャパンセカンド>の警察にも受信され、さらにはJAPAN-2ジャパンセカンドが販売するロボットにも受信されるものだった。これにより、発信元のすぐ近くにいるロボットが救難に迎えるようにしているのである。


もちろんそれは、ロボットの所有者の意向を無視して強制的にロボットを救難に向かわせるものではないものの、<都市としてのJAPAN-2ジャパンセカンド>内では、大体三割の所有者がその要請を受け入れるという。


『たった三割?』と思うかもしれないが、一機二機のロボットが現場に駆け付けられれば救難が成功する確率は大幅に跳ね上がるため、それで十分なのだ。


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