入植者、対立する
「こちら、焼きサバ定食でございます」
そう言って
そうして
「はい、親子丼二つ」
と、刑事二人の前に親子丼を置いた。しかし、その口調や態度がいささか不穏なものであることを、千堂アリシアは察していた。苛立ちが見えるのだ。そしてそれを裏付けるかのように、キッと、四人を睨みつけ、
「あんたら、警察だよね? ここに何の用?」
とうとう、『隠すことすら面倒になった』と言わんばかりに露骨に嫌悪感を剥き出し、吐き捨てるように問い掛けてきた。どうやら、相当、警察を嫌っているらしい。
この辺りで警察用のレイバーギアを見かけなかったのは、自分達にとって必要以上にロボットが溢れることを望んでいないという以上に、警察そのものを毛嫌いしているというのがあったのだ。
その原因に、アリシアも思い当たる節があった。と言うのも、この<都市としての
先に入植していた者達は、自分達こそがこの地を開拓してきたという自負があるものの、後から入植してきた者達の中には、地球の日本の有力者達と強い繋がりを持つ者が多く、日本政府のや財界の意向をより酌んだ開発を行おうとしていたのである。
このため、
『上手くいくかどうか分からなかった頃は十分な支援も行わず丸投げしておいて、旨みが出てきた途端にしゃしゃり出てきていいとこ取りをしようとしている』
という不信感を強く抱き、反発したというのもあったらしい。
しかも、先に入植していた者達を支援する企業や団体などもいて、簡単には折れなかった。そして生じた小競り合いの中で何人もの逮捕者を出したのだが、それがなぜか、逮捕者のほとんどが先に入植していた者達だったりして、このことがまた不信感と反発を招き、感情がさらに拗れるきっかけともなった。
もっとも、先に入植していた側に逮捕者が多かったのは、実際に『やりすぎ』ていた者が多かったというだけであって、噂されていた<陰謀>などは事実無根ではあったのだが。
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