宿角領閣、アリシア2234-HHCを出迎える
忌憚のない意見として述べるなら、VR班の売り上げ自体は
市場全体の規模からみれば、それが現実なのだ。
いくらユーザー達が、
『自分達こそが世界を動かしている! 影響を与えている!!』
的に大きな声を上げようとも、現実はその程度でしかない。
とは言え、<総合企業体>である
しかしその一方で、唯一無二の存在である<千堂アリシア>を派遣するにはリスクが高すぎる。
そこで
「本日はよろしくお願いします」
「おお、君が千堂アリシアくんか! 噂は聞いているよ! こちらこそよろしく頼む」
エンターテイメント部門の役員、
オフィスそのものはこれといってメイトギア課のそれと違いがあるわけではないので、アリシアも特に戸惑うことなく馴染む。
その上で、
<VRアトラクション用フルダイブユニット>
が置かれたそれだった。
一見すると<酸素カプセル>や<日焼けマシン>と呼ばれるものに似たカプセル状の装置である。と言うか、メイトギアであれば<メンテナンスカプセル>や<急速充電器>の方が馴染みがあるだろう。
待機していたスタッフらが、フルダイブ用の端末を、今は千堂アリシアでもあるので標準状態のメイド服を模した外装パーツのスカート部分は外されてスーツを着ているアリシア2234-HHCに装着していく。
彼女はメイトギアなので本来はVRアトラクションになどアクセスすることはないのだが、今回は彼女の力を借りることになるので、人間用のそれを使ってアクセスするしかなかったのだった。
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