あっちゃんの日記5

#9月17日

「穴が在ったら入ってしまいたい」と私が呟くと、目の前の地面がボコッと穴が出来ました。私はそこに入り、気持ちの整理がつくまで暫く体育座りしてました。色々考えた末にあれは仕方なかったんだと思えたので、地上に上がろうとした際に周りの人達の何やってんのこの子という視線に耐え切れず、あぁ…もっと穴に入ってしまいたいと思い、更に深くなった穴に私は入り込んで、下水道に繋がり辛うじて電波が届くので、携帯のウォークナビを頼りに自宅付近のマンホールを目指してその日は誰の目も気にせず帰りました。そして今日、私が家で寛いでいるとピンポーンと音が鳴ったので玄関のドアを開けると、遺影を持った喪服の夫婦が怒った顔で立っていた。「あなたの大した事もない後悔に、出来た穴に娘が落ちて死んだ。」私は申し訳なくなった。それと同時に、大声でそんな事言うもんだから近所の人達がザワザワしている。嗚呼…恥ずかし、御免なさい、恥ずかしい、御免なさい。なんて思っていると夫婦の地面に穴が出来て、二人は落ちて逝きました。


#34月1日

姉が逮捕されたと警察から連絡を受けた。話によると、道端の知らないお婆ちゃんに対して一人で四面楚歌をやってのけたそうだ。残像作るほどに早く動けたんだと私は感心してしまった。両親は付き合ってられんから私に警察署に行って来てくれないかとお願いするので、しぶしぶ私が車を出すことにした。運転してると向こうで飲酒運転の確認をするかの様に検問がされていて、当然差し掛かった時に私は声を掛けられた。私の車の周りを数周お巡りさんはした後にこう言った。「君、八方美人の容疑で逮捕。」「え!私がですか!?」「今ね、それは新種の詐欺として認められてるんだよ。」姉とは逮捕された者同士で対面した。


#43月79日

道端で、魚を咥えたドラ猫と出会う。私を見て少し動きを止める。思い出したかのようにまた走り出した。ここでの私はどうやら海を目指してるようだ。海に行くまでの間に15匹ほど魚を咥えた猫と出会えた。そして、海に着くと猫を咥えた鮭と出会った。溺死して白目をむいた猫を咥えてピチピチと跳ねていた。


#7月70日

朝なのに空気は真っ暗だった。ただ、道路や家はハッキリ見えていた。太陽が変わらず輝いているからだろうか?夥しい数の蝉の鳴き声が聴こえる。近くから、遠くから。私は耳を塞ぎ何処か聴こえない場所を目指し、がむしゃらに走り出した。気が付くと何時の間にか蝉の鳴き声は聴こえなくなっていた。今度は私の乱れた呼吸が内側から聴こえて来た。整えていると車が一台通り過ぎた。中には誰も乗っていなかった。私は青い型取りを遊ばずに齧った。すると、景色に午前の色が付いた。早く、真っ黒になる前に家に帰らなくちゃ。だけど、家から離れ過ぎてしまった。型取りは残り十枚程あったが、私は此処が何処だかを知らない。別に全部使っても問題はなかったのだけど、私は変に焦っていた。コレンタニアという生き物は人語を話せる。何時の間にか私の前にいて「別に帰っても大丈夫だが、お前の知ってる人を一人だけ此処に取り残す。」と言った。夢から覚めた私はアドレスや卒業写真を見たけど、誰が居なくなったのか分からなかった。でも、私の見た夢に取り残されてしまったのだろう。


22月90日

朝起きると、局部に違和感を感じパンツを捲ると男性器が生えていました。それ以外は何処も変化していなくて、声だっていつも通り女の声だった。どうしてこうなったのか原因が分からないので、先ずは病院に行くべきだったのだろう。だけど、取り敢えずこれを有効活用してみることにした。一通り終え満足した後に、尿意を感じてトイレに駆け込む。オレンジに近い、世間で言う疲れ過ぎた時の尿が出た。それは良いんだけど、自分の身体の水分以上に出ていて一向に止まる気配がない。どうしたものか分からず、私はひたすら出し切る様に努めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る