お墓の晴れ模様

快晴を今日も私は歩かせられています

少しだけでも 雲が有るなら嬉しいのですが

気まぐれなる空に 同等の私は言ってもしょうがないです

青の空気の層に立ち尽くす心情なんです

太陽は白く輝いて深い青の影を作り

影絵の鳥は地を羽ばたいて林に交じる


似せて欲しかったのですが

言った所で揺り篭と同じで

遠くにあなたは居る 声も手も届かず

私の目の前に望んだ表情で降りて来る事もないのです

風は背中から抱きしめる様に吹いて

照らし合わす様にさせるのです

あなたは意地悪です 私の心に予感を染み付かせないで


線香に火を燈す

この香りはあなたには届きますか

凜々とした清らかな春の小川の細かい砂の香り

日中共には過ごせましたが

心中共には出来なかった私は

あなたにこの答えを聞くのは遥遠くになるでしょう

紫に凭れる病は生えてもおりませんから

どうしようありませんね

私に背中から被さっても読めませんよ

私にはその答えはまだ鮮明じゃありませんから

書かれぬ書物です


髪を少し短く切りました

似合うと言ったのは長い髪でしたが

過去に潜むあなたはどんどん動く景色に置いてかれるので

思い出して一つだけ持ってきてみたのです

まだ目覚めるには早い蝶を見かけましたが

私のこの気持ちも置いてしまうのではないかと悩むのです

声が聞きたくて仕方がありません

砂で擦り薄れてしまわれそう

何が一番求めていたかも忘れてしまいました

逆さに植えられた球根の様に


お茶も団子も供えておきます

あなたの様に硬くなり冷めないうちに召し上がれ

惚けた顔して雀が物乞いしてますから

「チュン」とも嬉しくございません

箱にしまってあげたいです


何処に居るのですか

まだ快晴でも冷たいのに

私は此処に居ます

この日はいつも照る照る坊主を逆さに吊してます

気持ちの良い朝に合わせられないじゃないですか

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