バナナを略奪に至るまで

桃の皮で作られたハンカチが

飛行船から撒かれた午前の街

公衆電話の中は水槽

話してる人がボックスに置いていた小銭は

揺れながら落ちていた


空は地上が眩しくて眠れないと知ったのは

甘い硝子を運ぶ虫を見てから

薄命の人々はひっそりと

そんなことも知らずに

病室を綺麗に空けていく

風ではなく陽射しがカーテンを押していた


また遠くから鳥がやって来る

探索の電池は使い切っていて

漆黒の溶けた春へ導けないでいる

早く肉を摘んで貰いたいけど

表情が付いたら魚の様には食べないだろうな


多彩が空気に染み付いてき

丸み帯びた石を河で積むのは

羊の夢枕を抱える子供達

数えても終わらぬ

隙間から覗く光みたいで

崩しては積み立てる


裏側の景色に塗られた

碧い森は何処か背中を向けてるようで

冷たくされそうな気になり

閉じる度に歩くことを止めた


静かな波を掬い上げても

手の中で波紋は何時までも残り

何も確かに写さないから

私はバナナを略奪しようと思う

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