吹き荒れる季節に

赤子が理由も無く泣き出す様に

空だって荒れたい時が来るのです

青空を雲が巻き上げて

地上の宿りまで届く様に吹き荒れる

私達の傘はその時を乗り切れるでしょうか

裏返しの傘は捨てられても受け流す


今 小川の魚達は逆らう事に挑む

もう海へは帰れない

流れの強さに力尽きる者がいても

泳ぐ事を止めようとはしなかった

石は転がされ丸み帯びて

やがて砂になるまで繰り返されて行く


樹々は寄り添う様に揺れていて

葉の靡く音を聞き分ける事が出来て

私達は億万人から一人を見つけるでしょう

親鳥の羽は脂が落ちたとしても

雛のいる所へと向かうのです


私も雛みたいな頃は

台風ばかりを気にしてましたが

母はそんな私を気にしてくれたのです

障害を無視する気持ちが歩みなのだと

気付いたのは一人で部屋にいた昔

そして山にはまた道が流れて築かれる


私は一層暗くなった夜に外へ出る

誰もが構わないで閉じこもり

カーテンを締める吹き荒れる夜

低気圧なあなたの心をこの身体で受け止め

泣きやむまであやすのです

伺うばかりではなく

気遣う者もいるのですと


吹き荒れる季節は無くなり

星々が埋め尽くす夜にへと変わりました

静かな朝を誰もが交差をします

立ち止まらせる花も全てが散り逝きました

私は窓を開け

青過ぎる穏やかな海と

浸水して空を写す道路を見て微笑む


ヘックション!ズズー

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