泥沼に咲く花

花束は青い紙に包んでいる

深緑の地上の海へと

それを投げ捨てる

何処へ向かったのか知らない友人へと


黄緑の立ち入り禁止が

この森を綺麗に囲む

雑草のみが外出を許されてる

立ち並ぶ物は皆

殺風景で風すら死ぬ

支配された森


内側に朽ちた看板は

網目からこちらに警告する

強調した赤字は数年前に削れて

訴える力を無くしている


退屈な森は人を手招きする

俯いて空を見ない人を

そっと導いて行く

警察は回るだけ

森の影にさらわれて行く

木々よりも高く積み上げて行け


僕は空を余り見ない

変わり行く天に

憂鬱を与えられている

友達の家へ会社の出勤へ

仕方なく通るそこは

木漏れ日すら遮断する

左折の時に僕は眼を逸す


ただ奥に泥沼が在る

そこには唯一の陽射が刺さる

青や薄紫 黄や桃色の

綺麗な花が咲いている

余りにも美しくて

近くで見ていたいけど

踏み込んだ時

僕は飲まれて帰らない気がする

あれがこの森の入口なのかもと

羨ましがりながら眺める

金網に手を入れて

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