花の甘い音を煙から

花の肌に触れてみたいとは思いますが

私は風で御座います

掴む事も出来ずに潜るように吹き抜ける

花は風に乗れず川へと落ちて浮く


電車の中には公衆電話がありました

電話先の主は甘い女であり

受話器の先から砂糖の香りが見えた

会話の途中で十円が切れて途絶えた


プールには友達がいましたが

栓を抜いてから居なくなりました

私は静かな午前のここで

眼を閉じていた頃の音を探る


雲は何処から生えるのでしょうか

貴方の付けた煙草の煙から

裏庭で照る照る坊主が出来上がりましたが

私たちは涙ばかり降らせてました

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