満月の海辺

月は白く照らしてる

海辺をなぞる様に歩く

海も砂浜も月に染められてる


月光が照らす海は

何処までも揺れ続く気がした

カナブンは羽根を広げて

遥か遠くを目指す


お前は帰っては来れない


最中に帰路は閉じて行く


引力が海を引き摺る

波が書き消さないならば

海面に何を書き記すだろう


泳がせる動詞と

溺れさせる韻を巧みに踏む


歩み繰り返したものは


波に消される様なもの


それだけを言いたいが為に


割れた硝子の破片

あなたを思い出す

生まれた時から身に染み付いた

母親ではない優しい声

あなたの顔を見つめたい

月の温度をしてるであろう

黒髪のあなた


返事をしても

声は帰らない

遠くを目指し

先細る様に消える

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る