怪物くん

怪物くんは、ある山に住んでいる怪物です。

まだ幼い頃、倒れているのを熊が見つけてくれて森の集会を開き、仲間に入れようと論議したのです。

一時は、生かさない方向に進んだのですが、長老の梟が熊が責任を持って育てる事を条件に、怪物くんは森の仲間になりました。

あれから三年が経ち、怪物くんは山の中を駆け巡る活発な子に育ちました。

そしてある日、禿山の天辺から風景を眺めていました。

気持ちの良い春風が吹く中、風さんがちょっかいを出したのです。

一軒林に囲まれている家があり、そこの人間の子供達は皆で仲良く野球をしていました。

いつもは気にしなかったのだけど、怪物くんは気になってしまいました。

「遊んでみたい」そう思ったのです。

友達はその言葉に驚きを隠せないでいました。

慌てて怪物くんを集会場に連れて行き長老に集会を開かせました。

そこに怪物くんの育ての親である熊が来て、怪物くんを強く叩きました。

そうです…熊さんには子供がかつていました。

今までに無い位活発な子で、怪物くんと同じ事を何回も言う子でした。

ヒョンナ事から下まで降りて来てしまい、子供が大声で叫びだし、大人が銃を持ち熊さんの子供を撃ち殺してしまったのです。

熊さんは子供の死体にも触れず、車に詰められ運ばれていくのを見る事しか出来ませんでした。

怪物くんはその事実を初めて聞いてショックを受けました。

しかし、怪物くんは親不幸と知りながらも、あの人間の子供たちの顔を見ると受け入れてくれる様な気がしてならなかったのです。

その晩、怪物くんはこっそりと山を降り、人間の家の外でウロウロしていました。

今日はやっぱり居ないのかな?明るくないとだめなのかな?

そう思って帰ろうとすると、子供が外の小屋から出てきたではありませんか。

あの時見せていた笑顔はありません。

怪物くんに怯えている顔を見せていました。

怪物くんは慌てて逃げようとしたら躓いて転んでしまいました。

すると、子供はアハっと笑ったのでした。

怪物くんはこれはと思い沢山転びまくりました。

子供は手を叩いて笑ってくれました。

最後にとっておきの転びっぷりを見せると、大人が大慌てして出てきました。

怪物くんは急いで山の方に入り、子供の様子を見ていました。

泣いていました。

遊びたくて泣いていました。

その姿を見て怪物くんも涙を流していました。


翌日怪物くんは昨日の出来事を集会を開いて報告しました。

熊さんはなんて事だと泣いていました。

しかし怪物くんは続けました。

劇団になり、夜に子供から大人へ、朝に子供から大人へ、そして人間の町を劇団として徘徊しようではないかと。

一同、怪物くんはやっぱり他所の生き物だから狂っていると思っていると友達が次々と乗り始めました。

そして、楽器を用意し始めました。

空き缶、ドラム缶、伸び切ったゴム、太い枝、使えそうなもの全てを掻き集め小さな劇団が出来ました。

夜、子供が一人外にいました。

僕たちを探しているんだと怪物くんは思いました。

さぁ、劇団で徘徊だ。

ドンチャンドンチャンドンチャッチャボン

子供はあの時と同じように手を叩いて笑ってくれました。

大人が出て来て、また追い出されるのかと思いきや、大人の人間も喜んでくれました。

作戦は大成功です。

森の仲間が、団結をし大きな劇団が出来ました。

今まで反対していた熊さんも、怪物くんを信じて見てもいいかもと参加をし、これで山のメンバー全員が一つになりました。

さぁ、今夜は朝になるまで、徘徊しよう。

ドンチャンドンチャンドンチャッチャボン

会社員も近所の人たちも商店街の人たちも皆が驚いて、拍手をくれたのでした。

やがてこの活動は、山を渡り伝わって世界に広まって行きました。

そして森林破壊防止運動が活発に起き、森は昔の様に増えていきました。

怪物くんは現在、世界を束ねる座長を務めています。

目標は、仲良くなること

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