短編詩#1

『インソムニア』

春や月は歩道とは違う処を歩いている

左手あげてるあの娘

羨ましそうにみている

向こう渡る前に轢かれて死んでも

羨ましそうに過ぎて行くのだ




『サンドバーガー』

今日はどうか採点

私の減点 此処にあり

教師の頭裂いて

秘密結社の宗教的取引き


半分が煉瓦 三度の魔女に

手を合わせ銅像 召上がれどうぞ

今晩はどうか 閉じないで頂戴

575のリズム 集会のリズム


コンビニを買った気分




『思い出せないよ』

愛とか日常の標的

どっかの誰かが牛耳ってる

150円の正義を振り回す

損な私に手を差し延べしてよ

どうか…


世間の眼は冷たいよ

氷付いてっちゃうくらい

マッチ一本頂戴な

人肌の温かさは何だっけ


思い出してよ

思い出せないの

思い出してよ

思い出せないの




『墓参り』

墓で拝む君の弱さが怖いの

老いて忘れて行く事を止める様な気がして

今よりずっと強くならなくてはならないの

次のこの日が来るまでは

そっと眠らせてあげよう




『無花果の外道』

四畳半の間に挟まれても

矛先に決して溺れはしない

飛込む先が蒼空だとしても

忘れた事のいくつが

駆けて逝くのだろう


炭酸水で割った憂鬱を

飲み干して錯乱する

木漏れ日を揺らす

風を詠みて舞踊る

積木の塔は

まだ崩れる事を知らない

踏切が燃えていく

午後の鐘 鳴る


湯を沸かして飲む

花は道管が狂ってる

茶の土は錆へと変わり行く

海が乾く

指を数えた事が無い

頭の位置にに頭が付いて事は無い

明日とは誰だろう


汚れを知らない

純粋の二文字を

生ゴミで

混ぜてしまいたい

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