鉄の獣

息遣いの無いアスファルトの

整備されたジャングルを

鉄の獣が跨がられて走る

赤血球の栄養と酸素運搬や

神経の伝達にも似た光景

この大移動をビルから見下ろせば

街は生きていると主張してるようだ


意思の無い鉄の獣を走らせる人々の

生きる速さはそれぞれが違う

だから時々だけど

大きな声を上げて先住民族に噛み付く

冷たい牙が詰まった体温に食い込む


だけど

優しい白い鉄の獣は

泣きながら先住民族の元に駆け寄り

大きな巣へと乗せて帰って行く

勇敢な白黒の鉄の獣は

ジャングルの治安を守る為の

毎日狩りに忙しい

大きな赤い鉄の獣は

災害に見舞われたジャングルを助ける

子供達の憧れ


全てが怖い存在なんかじゃないんだよ

この街をユートピアにするのも

明日は我が身の危険地帯にするのも

全ては跨がる私達次第

穏やかな心で飼ってあげれば

きっと誰にも噛み付かない筈だよ

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