滑り台

君は僕が生まれる前からいるのは 今亡き小父さんから聞いたのだ

この公園には様々な遊具があったのを鮮明に覚えている

ブランコ ジャングルジム シーソー そしてゾウの形をしたピンクの所々禿げた君

君は公衆トイレと大きな木の立つ角の陰にいつも立っていて

地味だと言われていたけど僕にとっては一番の遊具だった


最近の子供は遊び方を知らないから怪我ばかりを覚えてしまうんだ

次々と公園から遊具が消えていくよ イエローのテープ 撤去された後

必ず天気が外れて雨が降るのは 君が泣いているんだと思っている

雨の日の夜 傘を差さないで公園に飛び出した 君だけが公園の隅で濡れていた

僕は君の目の前に写る花壇計画の看板を粉々に砕いてやったよ

大丈夫君だけは絶対に捨てさせやしない


次の日も雨で僕はひたすら土を掘り返した

翌日晴れる頃には廃屋の方まで運んでこれた

錆びた電車 利用されない公衆電話 誰も座らない椅子 皆守りたくてここに来たんだ

僕は来れる限り必ず君の鼻を滑りにくるよ

だから夏みたいにカラッとした天気にしてくれ 今度は沢山日が当たるから

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