道連れした時の風景

鯉が一匹 透明な毒が溢れている整備された川をゆらゆらと泳いでいる

煙草を揺らしながら歩いている その近くに寄り

煙草を吹きかけると 鯉が口をパクパクさせるのだ

鯉にはこの煙には味があるとは理解できないだろう

鷹が鯉を狙っている 枝でそっと爪を隠している

その爪隠そうと魚眼でない私には

その眼が殺意をまる見えにしているのが分かる

人は爪を隠さない 爪は切るものである

私はあなたには無抵抗なのですと 切るのである

水面が反射するそこに硝子を砕いて放り投げる

ゆっくりと底に着くまでに何回も顔を写し やがて輝く川の一部となる

アメンボの足を千切る子供がいた話を聞いた

きっと足をつければ歩けたのにと 泣いていたのだろう

大丈夫此処とは無縁な森へ行こう

蔓のように一体になるんだ僕らも木に結びつけ

そのうち水で孵りやがては水面を優雅に歩くことでしょう

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