幽体離脱

心が身体の重さから離脱するのは

寝ながら起きた時だけ

黄泉にも夢にも行かずに

疲れ知らずの羽で飛ぶ夜

あなたの寝顔なんかを覗きに

曲がりくねった道路を無視して

ただ一直線にあなたの元へ

悪戯されてしまう不安を残しながら

たどり着いたあなたの家の灯りは無く

既に深く眠っていて

心は此処ではない何処かへ

きっと黄泉か夢へと出掛けてる


少しばかり背の小さい身体に

重ねて天井を見上げる

寝息に合わせて肺を膨らませる

こんなに間接的でも

私にとってはそれが幸せ

その後は決まって

触れない唇と胸と恥部を押し付け

満足するまで擦ったら

隣に寝転び一方的に語りかける

帰って来ない返事を想像で埋めて

空が明るくなる前に帰る


目覚めたらあなたとのこの関係は

もう何処にも無い

お互いに見えない幽霊みたいになる

さっきよりも遠い存在になって

それが夜に近づける

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