砂漠の犬

この場所には現在地がどこに有るかなんて分かりはしないので

ひとまず舌を出して体温を下げながら蜃気楼へと歩いて行くの

見えるからには幻なんかじゃなくてあるんだと信じています

後ろから観光バスがやってきて

私を砂漠の犬と窓を開けそう言い残すと目指す蜃気楼の彼方へ去って行く


私はあやつらと同じだと思う

毛むくじゃらで一つしか喋れない

歩こうとしても立っては歩けないけど

同じ固体だと思う

私の一つの言葉の連呼は一つの単語を沢山発していないのだ

それは長い長い存在とHELPを私は訴えているのだ


今日はもう暗くなる急に寒くなって私の肌は鳥の肌になる

私は意地でも岩を探しその上に寝る

以前四肢の無い物がこう教えてくれた

蠍ってのがお前を突き刺すから上がれない高いところで寝るんだ

あんたは口が大きいから口を開けて寝るなよ

虫が口の水分を求めて沢山飛んで来るから

私はだからうつ伏せに寝るようにしている


乾いた風の音に起きて

蜃気楼が見えるのを待つ

今日もそこを目指して歩く

観光バスが後ろから通り過ぎる

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