第221話乙女ゲーのヒロインは、ギャルゲの主人公に勝ちたいのです。その67

 2年生の借り物競争が始まり、今は紅組も白組も拮抗しており、差をあけるために、張り切る風紀委員長と、生徒会長が激しい火花を散らしているのである。そして、午前最後の競技である女子100m走に参加する生徒は、入場口への集合が始まるのである。


(フフフフフ、絶対に夜桜さんに勝って、郁人君に認めてもらうんだからねぇ……絶対に勝って、郁人君に私を見てもらうんだからねぇ……夜桜さんに勝って、郁人君を私のモノにするんだからねぇ……夜桜さんに勝てば、郁人君が私のモノになるんだよねぇ)


 郁人に冷たく放置されてから、ずっと瞳のハイライトがオフになったまま、たまに、乾いた笑い声を発する梨緒に、周りはみんな、関わってはいけないと距離を置いた結果が、チア衣装から体操服に着替えて、フラフラと入場口に集合して、待機して、どんどん妄想が激しくなっていく梨緒なのであった。






 そんな、集合の合図とともに入場口に真っ先に行った梨緒と違って、ゆるふわ宏美に、チア衣装を撮影され、やっと解放され、体操服に着替えて、一旦、紅組テントまで、浩二と一緒に戻った美月は、そのまま、浩二と別れて、女子100mに参加するために、入場口に移動しようとするが、政宗に捉まってしまうのである。


「美月……すまない……朝宮なんかに負けてしまって……」

「あ……うん…そうなる事は、最初からわかってたから…別にいいよ」

「ん……美月……今なんて?」

「あ!? う、ううん…何でもないよ!! ざ、残念だったね!!」


 物凄く落ち込み、悔しさで顔を歪めながら、美月にそう言う政宗に、真顔でそう答える美月なのであった。そんな美月の態度に、瞳のハイライトが消え、目を見開き、真顔で聞き返してくる政宗に、やばいと焦る美月は、両手をパタパタ振って、必死に誤魔化すのであった。


「スタートで出遅れたのが敗因だった……スタートさえ上手くいけば、勝てたはずなんだ……朝宮の精神攻撃にやられたのが原因だ……クソ!! やはり、朝宮は卑劣で卑怯者だ……美月を利用して、この俺に精神攻撃をしてきたのだ」

「え? 私を利用……何言ってるの?」

「朝宮に洗脳され、あんなことを俺に言ってしまったのだろう……美月があんなことを俺に言うはずないと思ったんだ……朝宮……絶対に許さない」


 そう怒りに震え、美月に必死に言い訳を述べる政宗の言い分に、全く心当たりがない美月は困惑し、目を見開き、両手をワキワキさせて、血管ピキピキの政宗が、一人、恨み辛みをぼそぼそ言っているのにドン引きな美月なのである。


「……普通に実力で負けただけだと思うけど……」

「美月…何か言ったかい?」

「う、ううん!! 何にも言ってないよ!! じゃ、じゃあ、私行かないといけないから!!」

「どこに行くんだい!! まだ、俺の話は終わっていないよ!!」


 ぼそりと、本音が口から零れてしまった美月に、ハイライトオフの瞳で見つめて、首を傾げながらそう尋ねる政宗に焦る美月は、もうこの人の相手は嫌だと、素早くこの場から立ち去ろうとするが、圧のこもった声で引き止める政宗なのである。


「ど、どこって、私、女子100m走に出るから、入場口に行かないといけないの」

「なら、ついて行くよ……時間まで話そうじゃないか」

「……ついてこなくていいから……じゃあ、もう私行くね」


 美月は対男子相手の必殺技であるとても迷惑そうな表情を浮かべるのだが、やはり、政宗には全く効果がなく、入場口までストーカー宣言してくるので、冷たく拒絶して、入場口まで向かう美月なのである。


「戦う前から、策を弄して、裏でコソコソ動く朝宮の卑劣さは美月も理解しただろう? やはり、美月……朝宮とは縁を切るべきだ……彼の口汚い言葉を無理やり言わされて、美月も辛かっただろう」

「……ついてこないでって、私……言ったよね!!」


 美月の後ろをついて来て、べらべらと一人喋る政宗の発言は、美月の怒りメータをあげるモノばかりで政宗にイライラマックスの美月は、怒りを込めた声で冷たくそう言い放つのである。


「大丈夫さ、入場口近くで話して、時間ギリギリに並べば、問題ないだろう……さぁ、行こうか……美月」

「……あのね……私は、ついてこないでって言ったんだよ……聞いてる?」

「恥ずかしがることはないさ……俺がついているから、安心してくれ、美月」


 冷たく突き放す美月になんのそのと、イケメンスマイルで変な理屈を述べて、つい来るのをやめない政宗に、立ち止まって、政宗の方を振り返り、怒りに震えながら、強めにそう言い放つ美月の言葉は、全く政宗には聞こえていないようであった。


「いいから!! ついてこないで!!」


 美月は、イケメンスマイルの政宗に、怒鳴り声をあげて、早足で、入場口に向かおうとすると、政宗も美月の後ろをついてくるのであった。


 もはや、完全に美月のストーカーと化した政宗なのであった。







 美月は、政宗には何を言っても意味がないと無視して、入場口に着くと、未だに謎の言い訳を述べる政宗を放置して、一年女子100m走の待機列に並ぶのである。


「……夜桜さん……彼氏同伴なんだねぇ……フフフフ、よかったねぇ……夜桜さん」

「……彼氏じゃないから!! ていうか、三橋さん……なんか、顔色悪いけど……大丈夫なの!?」

「……夜桜さんこそぉ、物凄く疲れてるみたいだけどぉ……100m走大丈夫なのかなぁ?」


 政宗が、無視して待機列に並ぶ美月に対して、大声で声援を送っていることで、ハイライトオフの瞳で、病んでいた梨緒が、隣に来た美月に気がついて、病んだ表情で煽るのである。


 煽られた美月は、ムッとなって怒りの声をあげながら、隣の梨緒の顔を見ると、顔面蒼白で瞳のハイライトが完全オフになっているため、怪訝な表情を浮かべて、社交辞令として、そう尋ねると、梨緒の方も、滅茶苦茶やつれて、疲れ果てた美月の表情を見て、そう煽るのである。


「……別に……大丈夫だから……三橋さんに心配されること何て何にもないよ」

「たしかに私もぉ、夜桜さんに心配されたくはないかなぁ……それに、彼氏を見せびらかすように連れて来るなんてぇ……さすが夜桜さんだねぇ」

「……だから、彼氏じゃないから……私の彼氏が誰かは……三橋さん……本当は知ってるんじゃないかな?」


 梨緒の煽りに、ムッとなる美月が、意味深にそう言って、煽り返すと、梨緒はヤンデレ殺気を放って、物凄い形相で美月を睨むのである。


「知ってるよぉ……あそこで、無様に郁人君に負けたぁ、情けない夜桜さんの幼馴染だよねぇ」


 引きつった笑みを浮かべて、政宗の方を指さして、睨んでくる美月に、そう言い放つ梨緒なのである。


「な……そ、そんな訳ないでしょ!! だいたい、あの人……勝手にここまでついて来て困ってるんだよ!!」

「そうなんだねぇ……夜桜さんも大変なんだねぇ」


 滅茶苦茶煽ってくる梨緒に、怒りの否定をする美月は、怒りながらも、困った表情で愚痴を零すと、梨緒が同情するのである。同情してくれる梨緒に、あ…この人少しは良い人かもと思う美月なのである。


「まぁ……でもぉ……夜桜さんだから……ざまぁとしか思わないけどねぇ」


 口元に手を当てて、にやぁと邪悪な笑みを浮かべてそう言い放つ梨緒に、前言撤回、この人やっぱり、物凄く嫌な人だと思う美月なのである。


「そんなに怒らないでよねぇ……でもぉ、ほらぁ、夜桜さんとはお似合いだと思うよぉ」

「……本気で言ってるの!?」

「もちろん……本気で言う訳ないよねぇ……覇道君って顔だけだしねぇ……あんなのが好きな人の感性を疑うよねぇ……だからぁ、夜桜さんには、お似合いだと思うよぉ」


 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、煽りまくってくる梨緒に、拳を握りしめて、コイツ~!! と怒りに震える美月なのである。


「……戦う前から、精神攻撃を仕掛けてきても無駄だよ!! 私には全く効かないんだからね!!」


 ニヤニヤ邪悪な笑みを浮かべている梨緒に、ハッとなる美月は、ジッと梨緒の顔を見て、あえて挑発してきていると気がつくのである。なので、全然効いてないアピールをする美月なのであった。


「それに、三橋さんが何を言っても、郁人の彼女が私なのは事実なんだよ」


 反撃とばかりに、美月は、梨緒にしか聞こえない小声で、精神攻撃を仕掛け返すと、案の定、瞳のハイライトオフで目を見開いて固まる梨緒に、勝ったと内心ガッツポーズの美月なのである。


「夜桜さん……そうだねぇ……今は、そうかもしれないけどねぇ…この先どうなるかは…わからないよねぇ……夜桜さん」


 カタカタ、怒りと嫉妬で震える梨緒が、無理やり笑顔を浮かべながら、美月に負け惜しみを言うのだが、その一言が今の美月には意外と効いたのか、ぐぬぬ顔の美月なのである。


 そんな、やり取りをしていたら、前の競技が終わり、一年女子100m走参加生徒の入場が始まるのである。


「……私は、郁人君のためにもぉ……負ける訳にはいかないんだよねぇ」

「……それは私も同じだよ……それに、三橋さんだけには、絶対に負けないよ」

「そっかぁ……それは、こっちも同じなんだよねぇ……夜桜さんだけには……私も絶対に負けたくないんだよねぇ……幼馴染ってだけでぇ……郁人君の彼女になれたぁ……よ、ざ、く、ら、さ、んにはねぇ」


 そして、最後尾に並ぶ、美月と梨緒は、そう言い合って、バチバチに睨み合い、ハイライトオフの瞳で、そう言い放たれる美月は、心の中で、絶対にこの人だけには負けないと呟くのであった。







 一年女子100m走に参加する生徒達が、入場口から、トラックに移動する様子を眺める郁人の所に、やってやった顔のゆるふわ宏美が、体操服姿で駆け寄ってくるのであった。


「郁人様……例の写真ですけど~……撮ってきましたよ~、後で~、データ送っておきますね~!!」

「そうか……ゆるふわ…よくやったな」


 バチバチに睨み合いながら、入場する美月と梨緒を座って眺めていた郁人が、ゆるふわ宏美に気がついて、立ち上がり、ドヤ顔で結果報告してくるゆるふわ宏美を、褒めるのである。


「はい~、それでですね~……郁人様にお願いが…」

「よし、じゃあ、あの件の事は許してやる……全く、ゆるふわ……二度と馬鹿なことはするなよな」

「……そ、そうですか~……あ、ありがとうございます~」


 そして、両人差し指を胸元でモジモジさせながら、郁人から視線を逸らして、例の写真撮影のお願いをしようとするゆるふわ宏美の言葉を遮って、呆れながら、ゆるふわ宏美を許す郁人に、冷や汗ダラダラでカタカタ震えながら、感謝の言葉を述べるゆるふわ宏美なのであった。


(わわわわわ、忘れていました~!! そうでした~!! わたしぃ、郁人様に許してもらうために~、美月さんのチア衣装の写真を撮ることになったんでした~!! どどどどど、どうしましょう~!! い、郁人様に写真を撮らせてなんて~、言える雰囲気じゃないですよ~!!)


 そして、やっと、何で美月のチア衣装の撮影をしたのかを思い出して、焦るゆるふわ宏美は郁人から視線を逸らして、焦り、震えるのであった。


「どうした? ゆるふわ……お前、凄い汗かいてるけど……だ、大丈夫か?」

「だだだだだ、大丈夫ですよ~!! い、郁人様のアイアンクローを受けなくてよかったので~、あ、安心しただけですよ~!!」

「そ、そうか……それなら、いいが……まさかと思うが……また、何か悪だくみしてるんじゃないだろうな?」

「そそそ、そ、そんな訳ないじゃないですか~!! すぐに人を疑うのは良くないですよ~!! ほ、ほら~、郁人様!! 女子100m走が始まりますよ~!! 梨緒さん、応援しましょうよ~!!」


 そんな、ゆるふわ宏美を心配する郁人に、バレないように必死に誤魔化すゆるふわ宏美を怪しむ郁人なのであった。これ以上怪しまれたらやばいと、美月と梨緒の100m走を近くで見ようと郁人の腕を引っ張るゆるふわ宏美なのであった。


「いや……俺は美月を応援するが……」

「何でですか~? 梨緒さん勝てば~、最悪引き分けってことにできますよ~」

「……いや、リレーは勝つから問題ない……それより、美月の可愛い姿を目に焼き付けないとな」

「……郁人様はブレませんね~」


 引っ張られる郁人は、梨緒を応援する気は全くなく、こちらを見ている美月の方を見て、そう言い放つと、少し不満気なゆるふわ宏美なのであった。







(郁人……郁人が私の事見てる……わ、私の事応援してくれてる……紅組の郁人が、白組の私を応援してくれてる……フフフフ、勝ったよ)


 女子100m走が始まり、次から、次に、走る一年女子生徒達を完全スルーして、美月をジッと見つめる郁人に気がつく美月は、郁人の熱い視線を感じて、内心超喜んで、テンション上がりまくり、心の中で勝利を確信して、隣の梨緒を見るのである。


「イクトクンナンデワタシノコトミテクレナイノ? アカグミダヨネ、ワタシヲミテヨ、オウエンシテヨ、ナンデ、ナンデナンデナンデ」

(こ、怖いよ!! な、なに!? ど、どうしたの!? 三橋さん……ぜ、絶対に関わらないでおこう)


 隣で、ぶつぶつ何かを呟いてる梨緒に、恐怖する美月は、冷や汗ダラダラで、視線を逸らすのだが、何か圧倒的な圧を隣から感じで、梨緒の方を振り向いてしまう美月は、ハイライトオフの瞳でこちらをジッと恨めしそうに見つめている梨緒と目が合ってしまうのである。


(怖い、怖い、怖い、怖いから!!)


 すぐに視線を逸らす美月は、ヤンデレ梨緒にジッと見つめられて、恐怖で震えるのである。


「よ、ざ、く、ら、さ、ん……なんでぇ、視線逸らすのかなぁ……こっち見て、少しお話ししうようよぉ」

(ないないない、今の三橋さんと話すことなんてないから!!)


 物凄く冷たい声で、そう言ってくる梨緒に、カタカタ震える美月は、ジッとこちらを見てくる梨緒に視線を合わせないようにするのである。


「どうしてぇ、こっちを見ないのかなぁ? よ、ざ、く、ら、さ、ん」

(こ、怖いからに決まってるよね!!)


 そして、タイミングが良いことに、トラックに移動することになって、いそいそとトラックに待機しに行く美月をジッと見つめながらついて行く梨緒と視線を絶対に合わせない美月なのである。


 そして、トラックに移動する美月の方をジッと見ていた郁人が、冷や汗ダラダラな美月と視線が合うと、頑張れの、親指グッをして応援する郁人に嬉しくなる美月だが、ハッと、さらに背後から冷たい冷気を感じる美月は、絶対に背後を振り返らないのである。


「ゼッタイニユルサナイカラ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイユルサナイユルサナイ」

(怖い、怖い、怖い、怖いよ……あ……郁人がこっち見てる……いやいや、郁人!! 嬉しいけど、今は困るよ!! 滅茶苦茶、隣の人怒ってるから!! これ以上刺激しないで!!)


 必死に視線を逸らし続ける美月を首を傾けて、ハイライトオフの瞳で、ジッと見つめ続ける梨緒の独り言に怖がる美月は、ジッとこちらを見てくる郁人に心の中でそう念じるのだが、郁人は、そんな冷や汗ダラダラの美月を見て、普段仏頂面の郁人が優しい笑顔を浮かべるのであった。


(全く、私の願いが届いてない!! 今は、そんな応援したらダメだよ!! 隣の人が、やばいから!! おかしいから!! 変だから!!)

「イイナ、イクトクンニ、ヤサシクホホエマレテ、ヨザクラサン……ヤッパリ、キエテモラワナイト……フフフフフフ」

(わ、私!! 消される!!)


 そして、前のランナーが、放送部の合図とともに、破裂音が響いて、走り出すと、恐怖で冷や汗ダラダラな美月は、逃げるようにスタートラインに移動して、そんな美月をジッと見つめながら、遅れてスタートラインに移動する梨緒なのである。


 こちらをジッと見つめてくる梨緒から、必死に視線を逸らす美月は、前のランナーがゴールすると同時に、走る構えを取るのだが、同じく走る構えを取る梨緒は、ジッと目を見開いて、ハイライトオフの瞳で美月を見続けるのである。


「ヨザクラサンダケハ、ゼッタイニユルサナイカラ、フフフフフ、ゼッタイニニガサナイ、ユルサナイ、ケサナイト」

(に、逃げないと……こ、殺される!!)


 ボソボソと梨緒が呟く恨み言がはっきり聞こえた美月は、冷や汗ダラダラで命の危険を感じるのであった。


「位置について~、よ~うい……ドンッ!!」


 放送部のスタート合図とともに、スターターピストルの発砲音が運動場に響くと同時に、命の危険を感じていた美月は、全力でダッシュすると、梨緒は美月をジッと、ヤンデレアイで見つめたまま、美月と同じ速度で走るのである。


 並ぶ梨緒は、美月の顔をジッ見つめながら、物凄い速さで走っており、そんな、梨緒に心の中で絶叫し、美月は全力で走るのである。


 もはや、勝ち負けというより、恐怖心から全力で走る美月なのであった。


 そして、ゴール直前でわずかに、梨緒を抜いて、美月の方が早くゴールテープを切るのであった。


「はぁ、はぁ、はぁ……」

「……ヨザクラサンニマケタ、マケタ、マケタマケタマケタ」

(やばい、やばい!! やばいよ!! 三橋さんやばいよ!!)


 美月は、全力を出し切って、疲れで息が乱れており、必死に息を整える中で梨緒の独り言が聞こえてきて、背筋が凍る美月なのである。そして、チラリと美月は、梨緒の方を確認すると、物凄い形相でこちらをジッと見つめている梨緒に、恐怖して、1位フラッグを受け取る美月は、そそくさと、この場から逃げるように立ち去るのであった。






 美月と梨緒の戦いを見ていたゆるふわ宏美が、戦いが終わって残念そうな表情を浮かべ、少し嬉しそうな表情の郁人の方を見るのであった。


「梨緒さん……負けてしまいましたね~……これは~、絶対にリレー負けられなくなりましたね~」

「まぁ……そもそも、引き分けじゃ意味ないから……最初からリレーで勝負する気だったから問題ないけどな……リレーに勝てば、後は作戦通り、今月終わりには、誰も美月には、手を出せないようになるからな」

「……そう……ですね~……」


 郁人の作戦は順調に進んでおり、後はクラス対抗リレーに勝てば、準備は全て終わるのである。それをわかってか、郁人の真剣な表情を横目で盗み見て、不安そうな表情のゆるふわ宏美なのであった。

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