第136話ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染で恋人なので、ずっと一緒に居たいのです。その8
次の日、郁人はいつも通り、ゆるふわ宏美と美月と別れて一人で時間をずらして登校するのである。
「あ…い、郁人様…お、おはようございます」
「と、尊い郁人様、お、おはようございます」
「お、おはようございます…郁人様一生推します…お、推しますが…」
校門を抜けると、いつも通り郁人様親衛隊の三人組に挨拶されるが様子が変なのである。ファンクラブ女子生徒達もいつもなら、郁人に次から次に挨拶に来るのだが、今は遠巻きに郁人を眺めているのである。
「あ…ああ…おはよう」
何か様子が変だと気がつく郁人は、とりあえず、三人娘に挨拶を返すと、すぐになぜ、様子が変なのかに気がつくのである。
「い、いくとさ……朝宮…お、おはよう…ほ、本日はお日柄もよくだな…」
「ふ、風紀委員長…よ、用件を言わなくてよろしいのですか?」
風紀委員長は、風紀委員の女子生徒数名と、威風堂々と現れたかと思うと、郁人を前にして、顔を紅潮させ、しどろもどろになってしまうので、風紀委員の女子生徒が戸惑いながらも風紀委員長に声をかけるのである。
「コホン……朝宮…おはようだ」
「あ…はい…おはようございます」
風紀委員長は、風紀委員の女子生徒の声で正気に戻ると、大袈裟に咳ばらいをして、きりっとした表情で、郁人に挨拶をしてくるので、戸惑いながらも挨拶を返す郁人なのである。周りを見ると、あからさまに、動揺している様子の女子生徒達と、郁人様親衛隊の三人娘を見て、ああ、風紀委員長が居たから、みんなの様子が変だったのかと納得する郁人なのである。
「す、すまない…朝早くから……朝宮…そのだな……す、すまないが昼休みに、ふ、風紀委員会室に来てくれないか? そのことを伝えるために朝から待っていたんだ」
「あ……そうなんですね…えっと…わかりました」
「そ、そうか! き、来てくれるのか!? それはよかった」
物凄く緊張しながらそう言う風紀委員長に、戸惑いながらも了承の返事を返す郁人に、嬉しそうな風紀委員長なのである。その様子を心配そうに眺めている郁人様親衛隊の三人娘と郁人様ファンクラブの女子生徒達なのである。
「よ、よかったですね…風紀委員長!!」
「あ……あぁ……あ…あと、すまないが、細田も連れてきてくれ、い、いくとさ……コホン、あ、朝宮……アイツのいいようにはさせないからな! 私に任せてくれ……では、昼休みに風紀委員会室で」
そう言って、去っていく風紀委員長と風紀委員の女子生徒達を、ポカーンと見送る郁人と、郁人様ファンクラブメンバーの女子生徒達なのであった。
一方その頃、ゆるふわ宏美は、いつも通り7組教室にたどり着くと、浩二に睨み続けられているため、早くこの場から去ろうと美月にお別れの挨拶を言おうとした時である。
「夜桜美月さん…少しいいですかね?」
長髪イケメンを後ろに連れて、7組教室前に現れたイケメン生徒会長は、眼鏡をクイっとしながら、美月に話しかけてくるので、イケメン生徒会長を警戒する浩二なのである。美月は戸惑いながらも、生徒会長に返事を返すのである。
「えっと…何か御用ですか?」
「ええ…すみませんが、お昼休みに生徒会室に来ていただきたいのですが、よろしいですかね?」
「えっと…わ、私何かしましたかね?」
生徒会長にお昼休みに生徒会室に呼び出されて、戸惑う美月に、眼鏡をクイっとして、イケメンスマイルを浮かべる生徒会長を睨む浩二なのである。
「急に美月ちゃん呼び出すなんて、何考えてるんっすかね……生徒会長」
「…永田くん…君にも一緒に来てもらいたいのです」
浩二は生徒会長を睨みながらそう言うが、爽やかイケメンスマイルを浮かべて、両手を広げながらそう返す生徒会長なのである。
「すみませんが~…今度は何を考えてるんですか~?」
「細田さんですか……君には用事はありませんよ…早く、くだらないファンクラブとやらを解散しておきなさいね」
生徒会長に、ゆるふわ笑みを浮かべながら、そう聞くゆるふわ宏美に対して、眼鏡をクイっとしながら、悪い笑みを浮かべて、挑発してくる生徒会長に、引きつったゆるふわ笑みを浮かべるゆるふわ宏美なのであった。
「……えっと…お昼休みに生徒会室に行けば良いんですね…わかりました」
「み、美月さん!?」
「美月ちゃん!?」
美月が了承したことに驚くゆるふわ宏美と浩二なのである。対して生徒会長は嬉しそうに眼鏡をクイクイして、顔を赤らめているのである。
「そうですか…では、昼休みお待ちしておりますよ……必ず、あなたのお役に立って見せますからね」
そう言って、颯爽と去っていく生徒会長を、長髪イケメンがぺこりと美月にお辞儀した後に追いかけていくのである。
「……なんなんですかね~……美月さん、くれぐれも気をつけてくださいね~…それでは、わたしぃはこれで~」
「う、うん…またね…ひろみん」
ゆるふわ宏美は、ゆるふわ笑みを浮かべながら、生徒会長に呆れ果て、美月にペコリとお辞儀して、自分の教室に戻っていくのである。1組教室に向かうゆるふわ宏美を心細そうに眺めるの美月なのであった。
「美月ちゃん…僕も居るから、大丈夫だぜ」
「……」
浩二が不安そうな美月にそう言うのだが、美月はチラリと浩二の方を見ると、完全に無視して自分の教室に向かうのである。
そう、美月は浩二の事を許す気はないのであった。
「ゆるふわ……昼休み、風紀委員会室に行くことになったからな…よろしくな」
「え!? ど、どういうことですか~!?」
ゆるふわ宏美は、美月と別れて、教室で今後の生徒会への対策を脳内会議していたところ、郁人が登校してきたため、いつも通り挨拶に行くと、唐突に郁人からそう言われて、驚きの表情を浮かべてそう叫ぶゆるふわ宏美なのであった。
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