第133話ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染で恋人なので、ずっと一緒に居たいのです。その5

 結局、チャイムが鳴るまで、生徒会長と風紀委員長の口論は続き、擁護され続ける郁人と美月は、タジタジの冷や汗ダラダラで困った表情を浮かべるのであった。


「朝宮郁人君、細田宏美さん、二人は昼休みに生徒会室に来てください」

「あ…はい…わかりました」

「え!? な、なんでわたしぃまで~!?」

「……わかりましたか? 細田さん?」

「は、はい~、わかりました~」


 生徒会長は去り際に、郁人とゆるふわ宏美にそう言うと、郁人は素直に返事を返すが、納得のいかないゆるふわ宏美は、驚きの表情で、驚きの言葉を口にすると、生徒会長は、ゆるふわ宏美に眼鏡をクイっとして、微笑みを浮かべて、無言の圧で脅迫してくるので、仕方なく、ひきつったゆるふわ笑みで了承するゆるふわ宏美なのであった。


「夜桜、覇道、永田、三名は昼休み風紀委員会室に来るように」

「えっと、わ、わかりました」

「……どうして俺達が呼び出されなければいけないんだか」

「政宗…ここはおとなしく従っておこうぜ」


 風紀委員長もまた、去り際に、美月と政宗と浩二に名指しでそう言い放つと、美月は素直に姿勢を正して、返事を返すのだが、あからさまに不満顔で、不満を口にする政宗を、物凄い鋭い眼光で睨みつける風紀委員長なのである。さすがにたじろぐ政宗に、小声でそう言う浩二に、頷く政宗なのであった。


「風紀委員長……なんの権限があって、夜桜さん達を呼び出そうとしているのですかね?」

「それは、こちらの台詞だ……貴様、何の権利があって、郁人様……コホン、朝宮達を呼び出そうというのだ!?」


 お互いの会話を聞いては、そう言って、睨み合いながらも、仕方なく2年教室がある階に戻っていく生徒会長と風紀委員長を疲れた表情で見送ると、解散とばかりに、自分達の教室にゾロゾロと戻っていく一年生達なのであった。


「さぁ、早く戻ろうか? 美月」

「美月ちゃん…戻ろうぜ」

「……」


 美月は、政宗と浩二にそう言われるが、完全に無視して、名残惜しそうに郁人の方をチラリと見て、自分の教室に帰っていく美月の後を、ゾロゾロとついて行く政宗と浩二なのであった。


「……ゆるふわ…俺達も教室に戻るか」

「……そうですね~」


 郁人は、帰っていく美月をジッと見つめて見送った後に、ゆるふわ宏美にそう言うと、ドッと疲れた表情を浮かべるゆるふわ宏美は、同意して、郁人と一緒に教室に戻っていくのであった。


「おかえりなさいだねぇ…郁人君、宏美ちゃん」


 疲れた表情で教室に戻ってきた郁人達を清楚笑みで迎える梨緒に、郁人とゆるふわ宏美は、ジト目で批難の視線を向けるのであった。


「ふ、二人とも、そんな目で見ないでよねぇ…わ、私、生徒会長って苦手なんだよねぇ」


 美月と激しい睨み合いをしていた梨緒は、いつの間にか教室に避難していたらしく、慌てながらそう弁明する梨緒の素早い行動に、呆れた表情を浮かべる郁人とゆるふわ宏美なのであった。






 そして、昼休み、呼び出された郁人とゆるふわ宏美は、再び、生徒会室に向かうことになるのであった。


「……郁人様のせいですからね~」


 ゆるふわ宏美にジト目見られながら、責められる郁人は、首を傾げて疑問顔でこう言い放つのである。


「俺のせいではないだろ」

「絶対に~、郁人様のせいですからね~!!」


 その発言に怒りの声をあげるゆるふわ宏美だが、生徒会室前につくと、怒りの表情を抑えて、いつものゆるふわ笑みを浮かべるのである。


「……1年1組の朝宮です。入ってもいいですかね?」


 生徒会室をノックして、そう郁人が言うと、入りなさいと言う冷たい怒りが込められた生徒会長の声が聞こえてきて、失礼しますと生徒会室の扉を開けて入室する郁人とゆるふわ宏美なのであった。


「もちろん、今回はどうして呼び出されたかは、理解していますね? お二人とも…」

「……あ…えっと…ゆるふわ、どうしてだ?」

「……わたしぃは関係ないですけどね~、郁人様が悪いんじゃないですか~?」

「いや、だいたい、問題起こすの、ゆるふわだろ? お前何かしたんじゃないのか?」

「わ、わたしぃがいつ問題起こしたんですか~!? だいたい、いつも郁人様のせいですからね~!?」

「いや、ゆるふわだろ?」

「郁人様ですよ~!!」


 前回と同じように、両手を組んで口元を隠して、シリアスモードでそう言う生徒会長の発言を受けて、責任の擦り付け合いを始める郁人とゆるふわ宏美に、静かに怒りの表情を浮かべる生徒会長と、いつも通り、背中に手を回して両手を組み、直立で待機している長髪イケメンも、怒りの表情を浮かべるのである。


「お前たち二人とも問題児だ!! 忙しい生徒会長を煩わせて、あまつさえ、学園のアイドルをトラブルに巻き込むなど、許されることではないぞ!!」

「は、はぁ……そうなんですか? それは、すみませんでした」

「貴様!! ふざけてるのか!?」


 長髪イケメンにそう言われて、とりあえず、頭を下げて謝る郁人に対して、さらに怒り狂うのだが、生徒会長がやはり、手で制して止めるのである。


「朝宮君……君は本当に問題児ですね……まぁいいでしょう…本日は君達に対して、ある決定事項を伝えるために来てもらいました」


 そう言われて、郁人は疑問顔で、ゆるふわ宏美は、ゆるふわ笑みを浮かべて、生徒会長の次の言葉を待つのである。


「朝宮君、君のファンクラブを解散してもらうことになりました。部室も一週間後には利用を不可とさせていただきます。それに伴い、きちんと、責任義務を果たしてもらいますからね」

「はぁ……別にいいですけど……」

「な、何言ってるんですか~!! 良くないですよ~!! どういうことですか~!?」


 そう、にやりと嫌味な表情で、眼鏡をクイっとして、そう言う生徒会長に対して、郁人は感心なさそうにそう返事を返すのだが、ゆるふわ宏美はというと、ゆるふわ笑みを捨てて、怒りの表情で生徒会長に詰め寄るのであった。


一方その頃、美月もまた、昼休み入ると、風紀委員会室に向かっているのであった。

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