第107話ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、勉強が得意なのである。その7

 郁人の意思は完全に無視されて、土日はみんなでお勉強会という事が決定されてしまうのである。そして、そのまま話は進んで、昼休みが終わってしまうのであった。


 困り果てる郁人は、何とかしないといけないと思い五限目の授業が終わると、すぐに梨緒にこの話題を出すのである。


「土日はすまないが予定がだな」

「うん…楽しみにしているからねぇ……ところで勉強場所どうしようかぁ?」


 郁人が断ろうとするが、梨緒は全く郁人の話を無視してそう切り返してくるのである。そこにゆるふわ宏美が上機嫌なゆるふわ笑みを浮かべてやってくるのである。


「そうですね~…図書館などが良いんじゃないですかね~…ファミレスや喫茶店なんかでもいいですね~」

「……おい…ゆるふわ…お前」


 先ほど見捨てられたことを根に持っているゆるふわ宏美は、郁人に対して、ゆるふわ復讐していくるのである


「そうだねぇ…でも、大勢だと迷惑にならないかなぁ…誰かの家とかが良いかなぁ」

「そうですね~…どうしましょうかね~郁人様」


 そうゆるふわ宏美は、最高のゆるふわ笑顔で郁人に話を振るゆるふわ宏美を睨む郁人なのである。


(このままだとまずいな…どうすれば……いや、待て……ゆるふわ宏美が言ってたな…梨緒達が美月と仲良くしたいみたいなことを言っていたと……これは…つまり…)


 考え込む郁人はある考えを思いつくのである。


「……よし…わかった…土曜日にしようか…日曜日は無理だが…土曜日なら大丈夫だ」


 いきなりの郁人の方向転換に、疑惑と驚きの表情を浮かべるゆるふわ宏美なのである。


「そっかぁ…じゃあ、土曜日だねぇ…場所はどうしようかぁ?」

「そうだな…ゆるふわ…お前の家で良いんじゃないか?」

「わたしぃの家ですか~? そうですね~…別にいいですけど~…郁人様…急にどうしたんですか~?」


 そう言う郁人に、疑問気に首を傾げてゆるふわ宏美は尋ねるのである。


「……ゆるふわ…そうか…お前の家で大丈夫なんだな」

「え…ええ…別にいいですけど~」

「じゃあ、宏美ちゃんの家で決まりだねぇ…みんなにも教えてくるのねぇ」


 そう言って、梨緒はクラス委員長の席に伝えに行くのである。そんな梨緒を見送って郁人は自分の席に戻って座るのである。そんな郁人について行くゆるふわ宏美は疑問顔なのである。


「郁人様……本当にどうかしたんですか~? 用事があるって言ってたじゃないですか~」

「……ああ…だが…大丈夫だ……問題は全てクリアされた…しかも、今後の問題も土曜日で解決だ」

「は、はぁ~…そ、そうなんですか~」


 よくわかっていないゆるふわ宏美を真剣な表情で見る郁人なのである。


「ゆるふわ…土曜なんだが……美月も誘おうと思うんだ」

「…………え? 郁人様…わ、わたしぃの聞き間違いですよね~? 今なんて言ったんですかね~?」

「美月も誘おうと思うんだ」


 はっきりとそう言った郁人にゆるふわ宏美は目を見開いて驚き、わなわなと震えるのである。


「や、やっぱりですか~!? 正気ですか~!! 郁人様」

「おい…ゆるふわ…」


 そう声を荒げるゆるふわ宏美に、クラスメイトから何事かと視線が集まるのである。そんな、ゆるふわ宏美に周りを見ろと呆れる郁人に、ゆるふわ宏美は両手で自分の口を塞いで小さくなるのである。小さい宏美がさらに小さくなるのである。


「まぁ…そういう訳だがら・・・よろしくな…ゆるふわ」

「どういう訳ですか~……無理ですよ~…わたしぃの家を鮮血で染める気ですか~…断固拒否しますよ~」

「でも、もう、ゆるふわ…許可してしまったから…みんな乗り気だぞ」


 そう言って、郁人はノリノリで土曜日の話を進めている梨緒達の方を見るのである。ゆるふわ宏美もその光景を見て、ダラダラと冷や汗を流すのである。


「い、いえ~…まだ、郁人様が美月さんを誘わなければ~…問題ないですよ~」

「ゆるふわ…お前言ってただろ…梨緒達が美月と仲良くしたいって言ってたって…いい機会だろ」

「ほ、本気で梨緒さん達が、美月さんと仲良くしたいと思ってるわけないじゃないですか~? 絶対に何か裏があるんですよ~」

「そうかもしれないが…美月は良い子だから…きっと、きちんと話せば仲良くなれると思う…それに、もしも、みんな仲良くなれれば、美月も1組の教室に来れるだろ?」

「そ、それは…いえ~…でも、わたしぃは反対ですよ~」

「それに、ゆるふわ宏美の家なら美月も喜ぶだろ……まぁ、ゆるふわも、勉強会乗り気だっただろ…一緒に頑張ろうな」


 渋るゆるふわ宏美に、邪悪な笑みを浮かべる郁人なのである。復讐の復讐をされるゆるふわ宏美なのであった。


「嫌ですよ~…絶対に地獄になる気しかしませんよ~」

「大丈夫だ…ゆるふわ…お前の家なら。ゆるふわが対処できるだろ…任せたからな」

「ま、まさか…郁人様……わたしぃに丸投げする気じゃないですよね~!?」


 そう恐怖の表情を浮かべそう言うゆるふわ宏美に、意味深な笑みを浮かべる郁人なのである。


「じゃあ…土曜日頼むな…ゆるふわ…俺は、美月たちに声をかけとくからな」

「いえ~…待ってください~…まだ、わたしぃの話は終わってませんよ~」


 完全に立場が逆転したゆるふわ宏美なのである。なんとか、土曜日の計画を阻止したいゆるふわ宏美だが、もはや止めることは不可能なのである。


「ゆるふわ…なんとか、美月と梨緒達仲良くさせような」

「絶対に無理ですからね~!! それ~!!」


 そうドヤ顔で言う郁人に対して、もう嫌だと泣きそうな悲鳴をあげるゆるふわ宏美なのであった。

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