大学付属の名門私立高校、天保学園の1年生である葉山京は、補修の常連として今日も補修への出席を余儀なくされていた。そして長い補修をなんとか切り抜けた彼女は、飢えに突き動かされるままいい匂いのする調理室へ向かい――男子生徒なのに女子用のリボンをつけた2年生、桜木恵都と出遭う。
いちばんの注目ポイントはキャラクター性です! 冒頭で主人公の京さんの、どちらかといえばテンション低い個性が押し出されるくだりは惹かれましたねぇ。心情描写だけに頼らず状況描写や行動描写を効かせて、しかも興味深いエピソードとして仕立てあげられていて。それがあればこそ引き立つんですよね。そんな彼女が、おかしな奴だけどそれ以上に切れ者な恵都くんに興味を引かれてしまう過程が。
合縁奇縁なんて言葉がありますが、物語の中では必然という名の都合で押し通されがちなものです。だからこそ、きちんと合縁且つ奇縁として見せてくれる作品は希有なのです。
この世にも希なる縁の行方、いっしょに追いかけていきましょうー。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)