第75話 直訴☆



 ※



 それから、ゼンが起きる(?)までの二日間は、西風旅団の男性陣は、ギルドの訓練所で、昇級試験の為の鍛錬をし、女性陣は必要なく受かるであろうとリュウは思ったので、自由としたのだが、結局二人ともついて来てそれぞれの訓練をしていた。


 昇級試験を受けるのは、ゼンが起きれるようになってから、と皆で決めたからだ。もしも受かるのなら、それをその場で見せてやりたい、と全員一致で決定した。


 サリサは、迷宮(ダンジョン)での探索で色々思う所があるのか、新しい呪文をつくろうとしていたし、アリシアは、戦棍(メイス)を振り回す練習をやたらとやっていた。何か嫌な事でもあったのか、ギルマスの頼み事、とやらのせいだろうか。


 一度皆で、ゼンが選んだ砂漠の国の王族が作らせた、というお屋敷の見物に行った。


 単に場所を聞いて、外から見て来ただけだったのだが、本気でゼンはここを借りようと思っているのか、正気を疑ってしまうぐらい、物凄い屋敷、いや、小さな城もどきだった。


 青の市民街の一番奥、城壁側の一角に、それは存在した。


 まず、見ただけでデカイ、広大な面積を占領しているのが分かる。こんなデカイ建物があったのを今まで知らなかったのは、普段来ない市民街の一番奥だからだろう。


 まず、五つの塔を繋げた城の様な造りの、コの字型の建物。4階まであるそれが、庭のある区画を囲み、正面から中庭は見られない作りになっている。脇に通れるスペースがあるので、そこから庭に行ける?いや、建物の中からも庭には当然行けるのか。


 正面側にも庭のスペースはあり、厩舎などもある様だ。


「多分、あの塔部分に螺旋階段があって、5か所で昇り降りが出来るんだと思う……」


 サリサも圧倒されながら、建物の造りを正確に分析している。


「4階もあって、あの広さだ。30人なんて余裕じゃないか。地下にも部屋があって、庭の方に別棟の建物がある。ハーレム持ちだったらしいが、だとしても広すぎて、何考えて他国にこんなデカイ屋敷、いや、やっぱり小城だな、を造ったのやら」


「別邸じゃなく、永住するつもりだったのかもな」


「でも、全員が従魔持ちになったり、スラムの子供達を大勢お手伝いに住み込みで雇うのとか考えると、将来的に、これぐらいの広さが必要になるのかも~~」


 アリシアも、クランが出来た後を想定して考えている。


「そうか。従者を連れてる奴だっているかもしれんな。家族持ちがいてもおかしくはない。


 ……しかし、広い。これだけの建物を管理、維持するのも大変だろう。それをするなら格安で貸し出すって話も、見てみると分かるな。確かにそうするだろうさ」


「ギルマスも乗り気で協力するって言ってたし、これを借りて住み始めたら、もうクランの話を止められない。ヤバイな。建物の規模で、話のデカさを実感する事になるとは……」


「そうだな……。もしかしたら、俺達だけで寂しく住む事になる覚悟とかもしなきゃ、ならん。話が上手く進む時の事だけ考えてると、足元すくわれるぞ」


「……リュウの言いたい事は分かるが、人集めは、ギルドを介して、ゼンが良さげな所選んで勧誘かけるらしいからな。俺等がやる訳じゃない。と、なると、余り、ゼンが断られる場面がが思い浮かばんのよ」


「……それは、確かに」


「旅立つ前は無口だったゼン君が、帰って来てからは、話し上手で交渉上手な感じするよね~。それも、強気でどんどん~~」


「……そうね。変に口が上手くなってる感じ。ラザンなんて偏屈の、お守りしてたせいじゃないかしら」


 口に出さずとも、皆がそこでうんうん頷き同意していた。


 そして日が傾きかけたフェルズを、3年近くお世話になった宿に戻る。もうしばらくしたら、この宿ともお別れか、と感慨に浸りながら。



 ※



 ゼンが目覚めた。正確には起きて動けるようになった。


 すぐリュウ達の宿に、ゴウセルの使いの者が知らせに来てくれた。


 ゴウセルの商会には、以前から言っていた様に、一時的に休職していた者や、やめても行く当てもなく困っていた者など、元の授業員達が呼び戻されつつあった。閉めていた商会の店も、今はまだ品ぞろえが悪いが再開し、今まで心配してくれていた馴染みの客等が集まり、事情説明等をしていた。


 ゴウセルの屋敷も、同じ様に人が戻りつつあった。


 元の料理人が、メイド少女二人に料理を習っている不思議な光景等があったりもしたが、それ以外の下働き等、前に勤めていた者がそのまま戻って来ているのが多い様だった。


 そうした、人が戻って活気のある屋敷の、ゼンの部屋を旅団の4人は訪れる。


 ゼンは、まだ少し調子が悪いようであった。


「従魔二人と同時に同調(シンクロ)したせいなのか、まだ本調子じゃないんですが、すぐ復調“させます”ので」


 復調“させます、というのがどういう意味なのか、ツッコミたい所であったが、ゼンだからもう言っても仕方ない、と半ばあきらめ半分なところがある。


「余り無理するなよ。一応、ギルマスには俺達と従魔の子達とで説明は済ませてあるからな」


「ありがとうございます」


 そこら辺の話は、従魔との記憶共有で分かっていたが、ゼンは深々とベッドの上で頭を下げる。


「後、クランの話とかもしてある。基本、賛成というか、色々と補助(サポート)してくれるそうだ。ギルド公認だな。勧誘とかも、前もって話を通せば、ギルドで呼び出してくれて、ギルド内の会議室とか施設なんかも使わせてくれると言っていた」


「助かりますね。勧誘の話がしやすくなります」


「後は……お前の言っていた屋敷、見てきたが、とんでもないな。小城と言ってもいいんじゃないか?あれを、本気で借りるのか?」


「はい。格安なので。あれよりも、もう少し大きさが手ごろな屋敷もあるんですが、そちらだとむしろ家賃が高くなるんです。だから、どうせなら広い方がいいかと」


 言っている事は正しいが、その広さの差は恐ろしく大きそうだ。


「ふむう。だが、あれは結構古いだろう。改修工事とかしたら、結局高くつかんか?」


「古くとも、完成した後で、魔術による強化処理がされてます。古くなってからの劣化という意味なら、それ程でもないんです。中の見学はされてないんですか?」


「ああ。外から覗いただけだな。あれに入るのは勇気がいる……」


「気持ちは分かりますが、持ち主となるはずだった王族の使う区画以外は、結構普通ですよ。まあ、そこら辺の趣味の悪いものは、入る時全部取っ払ってもらうつもりですが」


「ほう。見納めになるし、悪趣味な夢の残骸見物はするかな」


 ラルクが人の悪い笑みを浮かべている。


「悪趣味。でも、興味はあるわね」


「あるある~。面白そう」


「明日にでも行ってみましょうか」


「明日?動けるのか?」


「今だって動けますよ。でも、従魔達や義父さんがうるさいので、一日はじっとしていろ、と……」


「まあ、ゴウセルさんはお前が心配なんだから、仕方ないだろう。今回は、特に最後がかなり危なかったからな」


「……そうですね。正直、あんな変な『試練』があるとは思ってもみませんでした」


「思ってなくても対応して、何とかしちまうんだから、お前は本当に大した奴だよ」


「俺一人じゃなく、みんながいたからですよ。実際、一人で閉じ込められてたら、ほとんど何も出来なかったと思いますから」


「……そうだな」


 リュウとアリシアが悪魔の足止めに徹して、後部の壁での脱出ロをあける作業が出来た。ラルクとサリサの弓矢が壁に穴をあける寸前までいって、ゼンが何とかそれを駄目押しした。


 穴を広げるのを、サリサに任せられたのも良かった。時間がなく、強化時間もすぐ終わりそうなゼンでは、確実な作業は出来なかっただろう。


「サリサの爆発は凄過ぎて、ゼンの守りの結界技がなければ、全員まとめて吹き飛んでた気がするけどな」


 ラルクがあの時を思い出してついからかってしまう。


「わ。私だって、ゼンが守ってくれると信じたからこそ、あそこまで派手にやれたのよ。やり過ぎて、部屋、出てから役に立てなかったけど」


 魔力容量に問題がなくとも、大量に魔力を何度も使えば疲弊してしまう、というギリギリに使ったからこそ分かった事だった。


(結局は、鍛えてなければ無限に術が使えたりする訳じゃないんだ……)


 自戒し、自省して、より一層努力しようと誓ったサリサだったのだ。


「そういえば、迷宮のボスはすみませんでした。あんな、一発芸みたいなもので倒してしまって。リュウさんも倒せたと思うんですが、人数差や戦力差が出来てしまうと、危なくなる可能性もあったので」


(((必殺技的なのを、一発芸とか言っちゃうんだ……)))


 ゼンの感覚は、色々常人とズレている。そう思わずにはいられない4人だった。


「最初の中級のボスとまともに戦闘出来なかったのは、非常に残念だが、謝るような事じゃないぞ。あの壁だって苦労してたのに、勝手に連戦に放り込まれて、ゼンは動けなくある寸前だったんだろ?ありがたかったよ。ラプトルも、それなりに強かったからな。


 別に、ボス戦はもう一度やろうと思えば出来る。余り、あの迷宮に、再度潜りたいとは思えないが……」


「そうですね」


 ゼンも苦笑している。変な事ばかりがあった場所だ。また起こらない保証がない。


「そういえば、それについて、ギルマスが何か手を打つとか言ってたな」


「アリシアが協力を要請されてる話、ですよね?」


「お前も聞いてたか。一体何なのか、見当もつかないな」


 ゼンとサリサは、少しだけ予想が出来る。“それが”うまく行くかどうかは分からないが。


 そして次の日に、アリシアに呼び出しが来たので、屋敷内の見物はまた後日となった。



 ※



「―――ここで、何かするんですか?」


 アリシアが、本来美少女ならしないような顔で、うわぁ、嫌だなぁ~、と露骨な嫌悪感を出しているのは、フェルズ内にある教会であった。


「何故そんな顔をする。お前のホームグラウンドみたいな場所だろうが」


「そうなんですけど~。前から教会に戻らないかて、うるさく言われてるから、もうかなりここには来てないんですよ~~」


 噂をすれば、ここの責任者である司祭が、アリシアの顔を見て、露骨に顔をほころばせて喜んでいる。


「おお、信徒アリシア、久しぶりの訪問を、神に感謝―――」


「すみませんが司祭。もう話は行っていると思うので、挨拶などは省略で」


「……領主直々のお出ましに、教会本部から話は聞いていますから、事情等を聞いたりはしませんが、領主と言えど、教会に対して横紙破りな事をするのは感心出来ませんな」


「お気持ち、お察ししますが、どうかよろしくお願いします」


 慇懃無礼で尊大な態度のレフライアは、珍しく横暴な領主、といった感じだ。


「……言われましたように、今は教会内は無人。誰もおりません。シスター達にも、誰も近づけさせない様に厳命してあります。何の意味があるのかは知りませんが、なるべく手短に済ませて下さい」


 と、怒りを胸に秘めた態度で司祭も教会を出る。


 レフライアとアリシアは教会の一番奥、神の像の手前まで来る。神の像は、特定の神ではなく、神全般を表す、かなり一般的な神像だ。


 レフライアは、ある言葉の書かれた紙をアリシアに手渡す。


「まず、自分の周りを、自分を含めて浄化して」


「教会内で、浄化術ですか~?」


 神聖なる教会内で浄化する意味は分からないが、ギルマスに逆らう訳にもいかない。


「……『浄化』」

 

 アリシアは『ターン・アンデッド邪霊浄化 』とは違う、小規模な浄化術で自分と周囲を浄化する。


「そうしたら、その紙の文面を、はっきり声に出して読んで」


「……これ、本当に読むんですか~。何か。嫌な予感がするんですけど~」


「貴方は、冒険者として、これからもやっていきたい、そう思ってるのよね?なら、これは必要な事なのよ。迷宮の異常を訴えるべき場所は、他にはないの。貴方なら分かるでしょ?」


「それは、そうですね。仕方ないかぁ……」


 アリシアは覚悟を決めて文面を読んだ。


「―――天上におわす、いと高き御方、我等を導き管理する、いと賢き御方、我等を諌め罰する、いと厳しき御方、我等を救い癒す、いと優しき御方、どうか我が願いの声、届き至るなら、我が身に宿りて、その御力を、御貸し給わんことを切に願う―――」


 諸々長い文面を、アリシアはつかえもせずに、スラスラ最後まで読み上げた。


 それは、レフライアが長年付き合いのある、ある高名な教会関係者から流してもらった、神を巫女に降ろす召喚の言の葉。


 何の神が降臨するかは、その巫女の器次第、という、博打の様な召喚なのだが、恐らく、アリシアなら、この密かに教会関係者から、次期聖女候補と目される、類稀なる才能と聖性を生まれ持った彼女なら―――


 ―――その時、天上から一条の巨大な光が、ローゼン王国の辺境、迷宮都市と呼ばれるフェルズの小さな教会に降り注いだ。


 それは、どこかアリシアの使う『聖なる威光 ホーリー・ライト』とも似ていたが、規模がまるで違ったし、決して破壊的な力の光ではなかった。


 その光に包まれ呑まれて、教会内は目も開けていられない程の光で溢れかえらんばかりの光景となった。


 ただ静寂と光だけの世界で、レフライアは立っているのがやっとの状態だった。


 それ程、アリシアに降り立った存在の“神気”に圧倒されたのだ。


 光の波がおさまり、やっと周囲が正常に戻っていくが、アリシアは、神々しい光に包まれたまま、その瞳は何もうつしていない。だが、興味深そうに周囲を見渡しているのは、透視を使っているのか、あるいは遠視か。


 レフライアは片膝をついた。


 しれは、降臨した神に敬意を現わす為でもあったが、単純に、強い“神気”にあてられ、立っていられなくなったのだ。いや、最早、息をするのも難しかった。心の臓が止まりそうだった。


 それ程の圧倒的な“神気”で、元A級冒険者であるレフライアでさえ、ただそこに存在されるだけで、死にかけているのだ。


 マズイマズイ。このままでは、何のための召喚なのか、何のために、教会に手をまわしてまで舞台を整えた意味がなくなってしまう。


 丹田に力を込めろ。もう呪いはない。たとえ引退していようとも、痩せても枯れても元A級の、『紅の衝撃』をひきいていた、リーダーなのだ!


 レフライアは、“気”を練り、全身に循環させ、無理矢理にでもその身体を維持し、なんとか声を出そうとする。まるで自分に気づかない、人間が無意識に歩いて虫を潰すように、自分を圧倒する、この存在に、一矢報いて―――


「し、主よ……」


 もっと、声にも“気”を込めて


「『い、偉大なる、主よ、その大いなる“神気”をお収めください!』」


 それは、決して大声ではなかったがレフライアの“気”を精一杯込めた声は、充分目の前の存在に意味が通ったようだ。


 その場に充満していた強大な“神気”がみるみる薄まり、息の出来る、普通の状態に戻って行った。


【すまぬな。人界に降り立つのが、余りに久しい故に、加減を見誤ったようだ。許せ、人の子よ】


 その声にまだ強い“神気”が感じられるが、なんとか普通に会話出来る。


 人間と会話してくれる、まともな神のようで、レフライアも安心した。中には、まるで人と会話なぞしない、絶対拒否な神や、そもそも人語を解さないものまでいるのだから。


「私めは、ローゼン王国の辺境、この迷宮都市フェルズの領主、レフライア・フェルズと申します」


【ふむ。ローゼン……。おお、勇者の降り立つ地にある国であるな。フェルズ……。うむ、理解した。では、レフライア・フェルズよ。この、いと“清き”者に我を呼んだ、用件を言ってみるがよい】


「は、寛大なお言葉ありがとうございます。実は、私がおさめますこのフェルズには、数々の迷宮が付近に点在し、『迷宮都市』と呼ばれる場所なのですが」


 “神”は大人しく聞いている。当たり、だろうか?最初の“神気”からも、決して位の低い神ではないだろう。


「その迷宮の一つで、異常が発生いたしました」


【迷宮で異常?迷宮内は、神が造りし法則で成り立っている。それに対し、異議を申し立てるのは―――】


「いえ、恐れながら、その法則が曲げられ、明確な異常が見られた場所があるのです。ここ1週間程の事、『悪魔の壁 デモンズ・ウォール』と呼ばれる迷宮で、出る筈のない階層ボスが2体出現し、そして、『悪魔の壁 デモンズ・ウォール』の特有の『試練』と思われるものが、あり得ない難易度で、ある一つの冒険者パーティーを狙い撃ちしています」


【『悪魔の壁 デモンズ・ウォール』?】


「はい。その冒険者パーティーは、今現在、主が降臨されている、アリシアも所属するパーティーです。彼等はそのせいで、危うくその迷宮で命果てるところでした」


【待て。今、迷宮の管理システムに繋(アクセス)いでおる……。!】


 何か反応がある。


【これは、まさか……?だがしかし、そうなると……】 


 こちらには意味不明の単語しかもらさない。


 しばらく、動きが止まる。何か熟考している?


【レフライア・フェルズ。貴殿の訴えを、確認した。これは由々しき事態である。こちらでも、二度と、迷宮が正常でなくなるような事が起きぬように、対処する】


 何とか、レフライアの訴えは受け入れられたようだ。神の気紛れで、そんな事は知らん、とか言われたらどうしようかとも思っていたが、杞憂だったようだ。


【訴えは、これで終りか?余り長くいると、この者にも影響してしまうだろう】


「あ、すみません。後、1件お伺いしたき事があります。2年と半年前に、この地に住む、ゼン、という少年の夢に干渉した神は、おられるのでしょうか?」

 

【??2年と半年前。ゼン?我等は、この地に住む全ての人の子を熟知している訳ではない。特徴はないのか。何か分かりやすい】


「その子は、スキルがありません。突然、スラムに現れ、それ以前の記憶がないのです」


【スキルが……ない?記憶がない?……それは、何か病で動けない身の者ではなく?】


「いえ、普通に健康体です。2年半フェルズを離れて、ある冒険者の剣士に鍛えられ、今は戻ってきています。強き剣士となって。その、アリシアと一緒のパーティーにいます。


 今回の当事者です」


【スキルのない、強き剣士。それは、あり得ない。スキルのない人の子が、この地に……―――】


「その、上位者が関わったとおぼしき夢の為に、彼はここを離れ、厳しい修行の果てに戻って来たのです。スキルのないままに」


【それは―――だが―――まさか?――――――――――――】


 時が止まった様に、“神”が動かなくなった。


「……っう」


 アリシアが、苦しそうなうめき声をこぼした。もしかしたら、もう限界が?


【―――すまない。器の苦しみが、伝わってきた。我はここから去ろう。


 レフライア・フェルズ、人の子よ。先程の問いには、答えられない。人に伝えられない知識、事柄もある。神々の事情、と思って欲しい。さらばだ……】


 そして、神は去り、アリシアは気を失っている。


 まさか、神への問いでまで、答えが出ないなんて……。


 ゼンという少年は、本当に、何者なのだろうか……












*******

オマケ


ミ「こういう場合、快気祝いとかの流れじゃないですの?

リ「そうよね。確かに。話の流れがおかしいと思うわ」

ミ「それに、どうしてミンシャとご主人様の、手厚い看病から始まる、熱いラブ・ストーリー展開がないですの?読者はそれを待ち望んでいるですの!」

リ「……それは、間違ってもないから。肝心の私がいますのに、犬とどうこうなんて、なりません」

ミ「蛇~、お前、生意気ですの!先輩に対する敬意がないですの!」

リ「あるから、今まで我慢して来たんですけどね~」

ミ「殺すですの!絶対殴るですの!」

(両手を掴み合い、取っ組み合いになりそうな二人)

(通りがかるゼン)

ゼ「ああ、ミンシャ、リャンカ、今回はすっかり世話かけてしまってすまない。その内、何かで埋め合わせするから」

ミ「はいですの!嬉しいですの!」

リ「主様、全てリャンカにお任せあれ!」

(何故かニコニコ笑って手を取り合い踊っている様な二人)

ゼ(この二人も仲がいいよな)ニコニコ


ゾ「こ、怖ぇ~。なんでこんな事になってるんだ?」

ボ「喧嘩。悲しい……」

ゼ「うう。主様の目の届かない所での行動が多くなったせいで、表面にあらわれてなかった対立が、一気に表に出たんでしょうか?」

ガ「触らぬ神に祟りなし」

ゾ「いや、充分表面に出てたがな……」

ル「お?まだ、るー、出れないお?」

セ「今は出ない方がいいと思いますよ……」

ル「お?」

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