第8話 異星人の訪問
「隕石だったのか? あれは……」
「いや、確かに右翼と左翼が見えた。あれは宇宙人が乗ってる、いわゆる宇宙船だ」
「そっか、じゃあ行くっきゃねえな」
軽い足取りで彼自信が作った空飛ぶ車に歩いていくステラを見たニコラは、少し考えたあとそこについて行った。
若干急ぎ足で歩いていく。
2人とも生粋の研究者だ。
異星人がもたらす未知の物質の可能性に、少しの恐怖よりも子供のような好奇心が勝ってしまう。
「気を付けろ、撃墜してやつらが死んでくれていればいいけど、単身で大気圏を突破して地上に降りたって無事に帰ってこれるほどの自信が奴らにはあるってことだ」
「大丈夫だって。【ステラ研究会】のメンバーもすぐに駆けつけてくれるだろうし、俺達だってそんなに
そう言ってステラはこれまた自前の光線銃を見せびらかす。
その左手に持っているのは一丁だけだが、この空飛ぶ車、通称「ステライド5号」には数十個の光線銃が格納されている。
左手の1つを横にいるニコラに渡し、力強くハンドルを握る。
前方を見据える両目はギラついている。
「おいおい、そんなに興奮するな。お前には殺されるかもしれないっていう危機感がないのか?」
「あるに決まってるだろ。ただな、このままどっかに逃げても俺ら研究者が出なければ確実にこの星は滅ぼされる。自然災害が起きようが、巨大隕石が落ちてこようが、研究者達が力を合わせて乗り越えたじゃねえか」
ステラは真剣に前を向きながら話す。
「そんな迅速に対処できたのは、最初に観測してそこから何が起きるかを考えて対策をした、研究者の見事な対応のおかげだ。この宇宙人が襲来するっていうニビル過去最大の危機を乗り越えるためには、今ここに居合わせた俺たちが動くしかないんだよ」
聞いて、珍しくステラの言葉でニコラが納得した。
「そう……、だな」
だがきっと、そんな壮大な思いだけでステライド5号を飛ばしているわけではないのだろう。
「ささ、もうすぐだ」
「うん」
超強化ガラスで作られている床を通して下の景色を覗く。
沢山の樹木が生い茂り、空気は澄みきっている。
くすまずに1本1本鮮やかな緑色なのがその証拠だ。
そして前方に視線を走らせると、それらを
先程ミサイルを命中させて勢いがかなり押さえられてのか、大地に空く大穴はそこまで大きいものではなかった。
意を決してそこに近づいていく。
クレーターの縁のところにステライド5号から降りて、ドアを閉めてから液晶一体型電子双眼鏡で宇宙船の中の様子を確かめてみる。
その双眼鏡は自作ではなく普通に市販で売っているもので、星民全員が持とうと思えば買えるものだ。
スコープを見たい方向に向けて、小さめの液晶から操作してその映像を見ることができる。
こんなときに車に一応鍵をかけてニコラより少し遅れてきたステラが聞いてくる。
「どうだ?中にいるか?」
「いや、まずそもそもあの宇宙船には窓がない」
「ええ……、外のカメラとかだけで外を見てるのか……? 凄い運転技術だな」
「まあ、全部完全に見えてないからわからないけど、前の方一帯が窓なのかもしれないしな」
「確かに、埋まってる今はまだわからねえな」
「じゃあ温度で確認してみろよ」
「いやお前バカか?緊急着陸したばかりなんだぞ。あれ全体が数百度の熱を持ってるはずだ。生物の熱の判別なんかできるか」
「ああ、そっか。じゃあ死んでてくれえええ」
「そう簡単に死ぬとは思えないけどな」
「あああ、、じゃあ、、どうすりゃ良いんだよおお。。。」
「うーん……、いきなり攻撃するのは危険だしな……。もしかしたらあっちも攻撃の意思なんかないかもしれないし……」
天才2人が悩んでいると、背後から人間なようだが機械らしくもある声が耳に届いた。
「お前たちのことはいつでも殺せる。おとなしく話せ」
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