てっきりテンポの良いギャグが持ち味のコントのような作風の作家かとばかり思って油断していたところ、結構ガチで怖いホラーを叩きつけられてビビってしまった。特に怪異を退治する爽快感はありつつもそれで語り部が幸せになれるかは別問題という怪談らしい後味が良い。「おばけ」は不条理と呼ぶには筋が通っていて、けれど正体を推理するには理不尽がすぎる。システマチックだがそれは人間社会のシステムとは異なる。そういう感じの怖さだった。この作家思ったよりバカっぽくない文も書けるんだな……