第171話 今・やっちゃった

9月21日。

1時半ごろから不明音。30から40分ほど。

2時半からエコキュートが始まる。かなり大きい音。30分ほど圧迫感も強い。

眠れない。




9月22日。

1時半ごろからエコキュート稼働。大きな音。20分ほど。

2時半、3時半も。3時半には長く、40分ぐらい続く。

5時にも同じく長く。痛みが本当にひどい。

6時ごろ楽になる。



9月23日。

雨、台風が近づいている。

夜、ずっと動いている低周波あり。

一応眠れるが、手に痛み。

2時過ぎからエコキュート稼働。痛み。しみるような感じ。

20から30分ぐらい。

3時半、4時半、5時半に痛み。10から15分。

昨日ほどでは無い。



9月24日。

11時半ごろから例の音。

風の音に紛れていつもよりはマシ。一応眠れた。

2時ごろからエコキュート。両方になると本当につらい。

耳に痛み。全身しびれるような痛み。

3時、4時、5時、15から20分位痛み。悪心。

6時から30分ぐらい痛み。6時半ごろ終了。







この数日間、自己嫌悪でどっぷりと落ち込んでいた。



実は計測予定日が早まった。

もうあと何日かで、始まる。




よかったよかった、と素直に喜べればいいのだけれど、正直なところ、やってしまった…と言う感じ。


20〜22日の連休の時、急に気温が下がって、エコキュートの音がひどくなった。

頭の中を、グワングワンと揺らされる感じ。

気持ち悪くて、吐きそうになる。



もういっそ、殺してよ。

そう泣き叫んだくらいに。






すっかり弱気になった私は、11月までがんばりますと言った言葉をあっさり翻し、休み明け、ケースワーカーさんに泣きついてしまったのだ。

それで、県の測定の方が10月中に予定を何とかやりくりして、近日中に計測してもらえることになったのだけれど、実際のところ、今現在、眠れないほどひどいのは3日に1度程度だ。


あの連休中、どうしてあんなに酷かったのかわからない。

今も、眠れない日もあるけれど、あの日ほどではない。



三日間の予定で計測するから、眠れないほどひどい日が1日ぐらいは当たる可能性は高い。

ただ、雨が降ったり風が強かったりするとダメだから、天気がそれなりに良くて、きっちり冷えてくれる日と言うと、若干可能性が下がってくる。



今日あたりなんて、夜中も気温が下がりそうにないし、もうあと数日で本当に下がってくれるだろうか。



たまたま連休にいきなり気温が下がったからといって、いい年して、大慌てで泣きついてしまった。

恥ずかしいし、やはり結果として、苦しくても11月まで待ったほうが良かったんじゃないかと後悔と自己嫌悪でぐるぐるしていた。



1ヵ月も事態が動かないことに焦っていた気持ちもあった。

それに、それだけではなくて、低周波で脳をやられると、マイナス思考になってしまうのだ。

化学物質過敏症や電磁波過敏症もそうだけれど、低周波障害も、精神病とよく間違われる。

いや、間違うというより、そう思いたい人がいるのだ。

電磁波や低周波で具合が悪くなっているのではなくて、思い込みに過ぎないと思いたい人たちが。



実際は、過敏症のせいで脳に影響が出て、鬱傾向になったり、人格が変わったりしてしまうのだけれど、普段のその人を知らないと、もともとおかしな人で妄想に取り付かれたのだと解釈されてしまって、否定する術がない。

原因と結果が逆なのだけれど、実際に過敏症でうつ病の薬を処方される人もいる。

風邪をひいたときに咳止めが出るように、対症療法として効果がないわけではない。

けれど、うつ病だったり精神の病のために、電磁波の影響が体にあるとか、低周波で体がつらいとか思い込んでいるわけではない。

逆なのに、理解されない。


ただ、残念なことに、実際に精神的な病でそういう妄想に取りつかれる人もいるらしいので、診断方法が確立されていないから証明が難しいのも確か。




そんなわけで、自己嫌悪のタネがあった上に、低周波の影響でどっぷり鬱傾向に陥ってしまっていた。

低周波障害の特徴として、自殺願望と言うものがあるらしい。

鬱傾向になるからだろうけれど、この病、病気と戦うだけならまだしも、世間だの社会だの、つまりは人間とも争わなきゃならなくなるので、そりゃ、世も儚みたくなるよね。


汐見先生は著書の中で、低周波問題の特徴の一つで、役人が前言を翻す、と書かれている。

個人としてのその人が最初、同情を示してくれても、国の方針が弱者踏みつけ、企業優先、健康問題無視、なのだから、そりゃあ、途中で及び腰になるさね。

他人のために大きいモノに立ち向かえる人は少ないもの。


葉山町役場環境課のOさんも、翻しまではしなくても、最初の時と次の時とではちょっと態度に温度差があったものね。

気のせいかもしれないし、ゆっくり話せなかったせいかもしれないけれど。




それにしたって向かいの家の方には理解してもらえないし、体はつらいし、自分の家を離れたくはないし、それでも引っ越しすることになったとして、どこに行ったら安全なのか分からないし、また逃げていった先でも、エコキュートだのエネファームだのにいつ苦しめられるか分からないし、結局企業は利益優先で被害者の事なんて踏みにじって何とも思わないし、国も企業の味方だし、これから長々と裁判することになるか、それとも裁判の形にすらならないかもとか、やるとして気力があるかとかあれこれあれこれ考えていると、もうめんどくさいから死んじゃおうかな…なんて気持ちになってしまう。


いろんな人に助けてもらっている私でさえも、そうなんだから、家族にも理解されないで1人で戦っている人が死にたくなるのも無理は無い。


それで本当に死んでしまっても、エコキュート のせいで世を儚んで自殺、にはカウントされず、ただのうつ病のため、になってしまうらしいので、虚しい。



さて、計測はどうなるか。


さすがにもう一度延期と言うわけにもいかないし、当日、気温が下がってくれるのを祈るしかない。

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