第165話 今・浄化槽点検

管理業者さんが、浄化槽の定期点検に来てくださった。


その時、ちらっと話してくださったのは、向かいの家の方から、どこかから悪臭がするのだけれど、私の家からではないかと言う訴えがあったそうだ。

問い合わせを受けた管理業者さんが、役所の方に私の体調のことを話し、在宅中はブロアを止めているけれど、外出中に回しているし、人数も少ないから水質もちゃんと基準内で悪くないと説明してくださったらしい。



とゆうか、私は去年、体調悪化したときに、向かいのお宅とうらのお宅には事情を話しに行って、においが気になったら遠慮せずに言ってくださいって話してきたんだけどネ。

まあ、エコキュート で揉めてる相手に直接言いたくはなかったのかもしれないけれど。



結局、実際には向かいのお宅自身の浄化槽の臭いだったらしい。

まだ、使い始めたばかりなのだし、浄化槽と言うのは微生物が分解する仕組みなのだから、微生物が十分に育つまではどうしても臭いが出てしまうものなのだけれど、知らなかったのだろうか。





私は、台風などのときには仕方がないけれど、なるべく連日は家にいないようにしている。

1日出かけなかったら、次の日は予定がなくても、散歩などに出て、浄化槽を回す。

鍼灸院やヒーリングなどに出かけた時は、帰りに少し駅ビルなどでぶらぶらして、時間を潰して帰る。


治療の行き帰りに駅ビルなどに寄るのは、単に買い物のためと言うよりも、できるだけ長い時間、浄化槽のブロワーを回しておくためでもある。






私が、この家が大好きでも、たとえ、この先エコキュートを移設することを承諾してもらったとしても、ずっとはいられないだろうと言うのはそのためだ。


今は良い。

たまに風邪をひいたり、腰とか足とか痛めたりした時は、ちょっとつらいこともあるけれど、今のところは、大体1日おきに出かけることがそれほど負担になっているわけではない。

でも、歳をとって、もし動けなくなってしまったら、あるいは、出かけるのが難しくなってしまったら、ここで毎日休むことができないのだ。





私は、低周波障害の発症当時から管理業者さんには相談して、さんざんいろいろ工夫して試した末に、ブロワーを止めるしかなかった。

当初は家にぴったりくっついている浄化槽を、少し離して新しい浄化槽に変えれば何とかなるのではないかと思ったけれど、あまりにも低周波に敏感になってしまっていて、隣の家の浄化槽の低周波音にも反応する有様だったので、少し体調が良くなってから工事をするつもりだった。


でも、いろいろ話を聞いてみると、新しい浄化槽と言うのは、昔の浄化槽と違って作りが複雑なので、今のようにつけたり消したりすると、詰まってしまうかもしれない。

しかもその場合、管理業者さんではどうにもならず、いちいちメーカーを呼んで分解掃除になるかもしれないと聞いたので、どうしたらいいか分からなくなってしまった。


もし、工事してしまってやはりつけていられないとなったら、万事休すになってしまう。

できれば葉山町の助成金が出ているうちに工事したかったので、万一の場合、つけたり消したりできそうな、できるだけシンプルな構造の浄化槽を教えてもらって、検討を始めることにしたのが今年の春頃だっただろうか。

このシンプルな構造の浄化槽は、最近の小さなものではなくて、割と大きいので、最初に考えていた場所に設置できるかどうか分からないし、とにかくまずは資料でも取り寄せようかと思っているところにエコキュートの問題が発生してしまったのだ。




葉山町は今のところ、下水道をこの辺に引くつもりはないらしい。

ただ、この管理業者さんのお話によると、今まで3人ほど低周波障害の相談を受けたらしい。

この小さな葉山町でも、浄化槽で低周波障害になってしまった人は少なくとも3人いるわけだ。

その中でも私は特に重い症状で、他の人たちは何とか管理業者さんの工夫で乗り切れる程度だったらしい。


私はもともと電磁波過敏もあったから、重症化してしまったのだろうけれど、管理業者さんはこの家の浄化槽の作りも良くないと言っていた。

こういう家にぴったりとくっつけるような設置の仕方は、他の人たちの家ではなかった様子なので、家から少し離して設置したとしても、低周波障害を発症する可能性はあるわけだ。




私のように重症化するケースこそ少ないけれど、低周波障害も電磁波過敏も決して珍しい症状では無いのではないか。

以前お世話になった不動産屋さんもスマートフォンを操作していると、指先がピリピリと傷んでくるとおっしゃっていた。

低周波や電磁波に身体が影響を受ける事は、決して特殊なことでは無いのだ。

重症では無い軽症の患者たちは、電磁波過敏とか、低周波障害だと気づかずに、ただの慢性疲労、生活習慣病と勘違いしている可能性だってある。


これからもっともっと、生活の中で利用する機械は増えていくだろう。

経済のために病気や障害の存在を無視するのは、5年先には経済のプラスかもしれないけれど、20年先にはかえってマイナスかもしれない。

いや、50年先には必ず、マイナスになっているだろう。


病気の存在を認めると、ただちに機械が売れなくなる、電波を規制するのも経済の妨げ、と考えるのはあまりにも短絡的だ。

仕組みを本気で解明すれば、何がよくて何が悪いか分かるようになるはず。

利用できないものも出てくるだろうけれど、利用の仕方を変えたり、問題をクリアできる製品を開発すればいい。



花粉症もアトピーも、最初は珍しい症状だった。


今ならまだ、わずかな敏感な人たちだけの病だ。

国民病になってしまってから対策するのでは遅い。

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