第51話 今・建築会社から

お向かいの建築会社さんから返答が来た。

現在の電力会社の契約ではそういうことができないので、後は電力会社のほうに聞いてほしいとメーカーに言われた、と言うことだった。


それって変じゃない?


私は、技術的に、つまり機械の設定をどのようにできるのかどうかと言うことを聞いたのであって、電力会社のプランは関係ないと思う。

そこは料金の話であって、もともと電力会社のプランではどうやっても今のところ夜に稼働したほうが安くなるのだから、電力会社に聞いてくれはおかしい。



そして、基準値以下ですからとか、そういう言い訳をしていたけれど、今現在、冷蔵庫もまともに使えない人に、基準値が何の役に立つのだ。

冷蔵庫が基準値以下でないとでも思っているのだろうか。


それに、基準値とやらは、ヨーロッパの規制から比べるとだいぶゆるいらしい。

大体、基準値以下でも健康被害の可能性はあるから、慎重に対応するようにと国の方が方針を出しているはずなのに。



夜と昼の料金の差額をこちらが持つと言う話をして、とにかく入居前にそのようにしてほしいともう一度伝えて電話を切った。


この建築会社さん大丈夫?


弁護士まで頼むつもりはなかったのだけど、この調子では頼まなければならないかもしれない。


こちらにかかりきりになれればばいいのだけど、今は他に懸念材料があるので、なかなか話が進まないのを不安に思いながら、この担当者さんに任せておくしかないのがつらい。




家の中に入るたび、周りを見回しながらやはり離れがたいと思うけれど、外で低周波の計測をして回るたび、やはり離れなければならないのだろうかと思う。


最近になって音が大きくなった原因はまだわからないけれども、多分、もともと周囲の浄化槽の音が家の中まで少し伝わってきてしまっていたのに、何かの音が乗ったわけで、実は増えた音自体はそれほどの音ではないのではないかと思った。

だから探し回っても見つからないのでは。

大きな音なら見つかってもいいはず。

もともと鳴っていた小さな音に、別の音が乗った。それで大きな音に感じている。


そうだとするといくら探し回っても、簡単に音源は見つからない。


いくつかの小さな音が私の家のあたりで集合しているのだとすると、結局ここには住まないほうが健康のために良いと言うことになってしまう。




いつかはここから引っ越そうと思っていた。

今はいいけれど、もっと歳をとったら、今よりもっと体が弱くなってしまったら、とても住み続けられないだろうと思っていた。


でも、こんなに早く。

せっかく手に入れた自分の家にたった1年半足らずしか住んでいない。

そういうことになるかもしれないとはどこかで思っていたけれど、あまりにも短かった。

まだ、サヨナラするとは決められないけれど。

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