第34話 今・家にいたくても
昨夜は試しにベットの位置を変えてみた。
ベッドとはいっても通販の折りたたみのすのこベッドだし、その上に布団を敷いてあるだけなので重量自体は大したことない。
さらに、低周波音で被害が出た最初の頃にベッドの下に耐震ジェルを敷いてあるので、ズルズル引きずればいいだけだ。
やはりひどく苦しくて、めまいや悪心でたびたび目が覚めたが、何とか少し眠れた。
部屋の位置と言うよりも、二方に押し入れがあるためかもしれない。
今朝、メールの受信を見てみると、NPOの方から計測器を発送したと言う知らせが来ていた。
今日、着くはずなので、今夜音源を探す予定だ。
自分でやらなければならないので、正直言って自信がない。
それに、探し当ててその先も、あまり自信がない。
どんな機械が動いているのかわからないが、夜間の運転を止めてくれるかどうか。

夜が終わっても、それで体が楽になるわけではない。
今度は、近隣の室外機で苦しめられる。
1番音が大きいのは、隣家ではなく一軒先のお宅だ。
とは言え、間にあるのは隣家の大きな庭なので、距離はあるけれど遮蔽物は無い。
おそらく古いヒーターを使っているのだろう。
これが動くと全身しびれるような痛みに襲われる。
だが、これは使わないでくださいと言うわけにもいかない。
夜中ではないので、できるだけ音の小さい部屋に移動したり、外出したりするしかない。
できれば今年あたり、買い換えてくれるといいのだけど。


テレビをつけると大変なことになっている。
ここまでひどいことになるとは、三月前には思いもしなかった。
こんな時だけど私は外出しないわけにもいかない。
体調がひどく悪いし、今日は向かいのお宅の外構の残りをやるらしく、重機が動いている。
鍼灸院に出かけることにした。
家にいて下さいとテレビでは呼びかけているけれど、家にいられるようにしてください。
本当に本当に家の中でゆっくりできればどれほどいいだろう。
自宅でのんびり過ごせると言うのはとても幸せなことなのだ。
この家で本当にのんびりと幸せに暮らせたのは、引っ越し後のたった3ヶ月の間だった。
でもその間、私はとても幸せだった。

緊急事態宣言で、わずかな葉山での知人とも、しばらく会えなくなった。
体のためにと始めたヨガとコーラスでの知人だから、当然のように両方しばらく休みになった。
とは言え今の状況では、どちらにせよ会えなかったかもしれない。
あちらもこちらも心配だけど、何とかなると思わないとやっていけない。
何とかなる。
明日は今日より、きっとよくなる。
必ず誰かが助けてくれる。
大丈夫。
大丈夫。
私が一番苦しい時期に、毎日布団の中で唱え続けたことばだ。

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