第4話 サイコパス
前回までのあらすじ
幼稚園のアスレチックを巡ってよっちゃんとその仲間たちvs星空バスターズが戦っていた。
現在夢、叶、蛍が敗退。敵のモブ3人と健くんが敗退。
残るはよっちゃんvs流星と、西園vs蛍ととおまけの希望。
誰が勝つのか
٭•。❁。.*・゚ .゚・*.❁。.*・٭•。
西園はアスレチックのてっぺんで周りの様子を見て、私に笑いかけた。
「愛、みてみなよ。3v2で星空バスターズが優勢だね。」
私が固唾を呑んで頷くと、流星を指さした。
「ねぇ、あの子。好きなんでしょ。君」
私がそれを聞くと一瞬耳を疑った後、顔を真っ赤にした。
「な、何を言ってるの!西園くん…!」
空を見上げながら西園くんはヘラヘラと笑う。
「ハハっ本当に面白いなー愛は。ほんとうに…妬いちゃいそう」
そう言うと、愛の足を掴もうと手を伸ばした。
愛はそれに気が付き、避ける。
「本当にすばしっこいねぇ。足をおってあげたい位だよ。」
彼の道徳心のない言葉に私は睨んで答えた。
「西園くんはサイコパスですね…」
そう言うと、流星を横目に見て、背を伸ばした。
「そろそろ僕らも決着をつけよ。君もこのままずっと屋根の上も嫌でしょ?」
アスレチックの屋根から下を見下ろすと、深呼吸をした。
2人は見合うとゆっくりと歩き出した。
ふーっと風が吹くと、私の足を滑らせた。
音もなく2人は目の前まで近づくと、2人の手が尻尾に近づいた。
互いの手からは風が吹き、尻尾に手が届こうとする。
風が足を後ろへと誘う。私は腰を後ろへとまわす。
手を西園くんの後ろへと伸ばすと、はらいのけられた。目を大きくして驚く顔を見せると、西園くんは不敵な笑みを浮かべて顔面を蹴りあげた。
「愛!!」
流星はよっちゃんとの工房があるにも関わるず、私を見た。
「来ないで!!」
流星を見ると、今にもこちらに向かいたいと目が訴えていた。私は頭から流れる血を隠すように笑った。
「私は大丈夫だから。」
流星は私の言葉に口を閉じたまま頷いた。
私は西園くんに向かい合うと、視界がぼんやりと暗くなる中、走り出した。
足は持ち上げるだけで悲鳴をあげる。手は、ジリジリと痛みが伝わってきた。
西園の手が上から振り下ろされた。
私は心の中で葛藤する。
どうする…西園くんに勝つには…私はどうすればいい…!
私がふと西園くんの足元を見ると、足に隙間が見えた。私は重い足を滑らせて、彼の足の下へと滑った。彼は一瞬時が止まるように足が止まると、私は彼のしっぽを手に取った。彼にしっぽを見せると、西園くんはニヤリと笑って砂埃の中に消えた。
「また、君のもとへ来るよ…流星くん。」
私は目の前が真っ暗になった。流星がそんな私を見て駆けつけた。そして、真っ赤な私を抱きあげた。
「愛…!お前なんで言わねぇんだよ…!」
私は口角を上げて笑いながら、流星のほっぺを撫でた。
「だって…流星は、私が…大好き、だから…私のせいで、よっちゃん、に…負けて欲しく、なかった…」
私の手を握る彼は両目に涙をいっぱい貯めて、私を抱っこした。アスレチックを出ようとした流星に、私は胸を掴んだ。
「待って…流星。どこいくの?」
流星は私を抱き上げながら叫んだ
「決まってるだろ!先生に怪我を見てもらわなきゃ!」
「待って…それじゃあみんなの頑張りが…」
「俺は…どんな事があっても、愛が血だらけなのをほっといたまま勝っても、嬉しくない。みんなが無事で、勝つほうが絶対に嬉しい!」
よっちゃんが流星の後ろ姿を見て鼻で笑った。
「逃げんのかよ、腰抜け野郎!
お前ら、毎回毎回俺たちに勝って、クラスのみんなにちやほやされてたけど、どーせ親無しの陰キャ集団じゃん!」
それを聞いた流星は悔しそうに唇を噛み締めた。勝ち誇るよっちゃんに何も出来ずにただ負けを認めて降りる事を選んだとはいえ、自分の大切な仲間をこんなにも侮辱されて、正直腹の底からよっちゃんを殴りたかった。でも、殴らなかった。
なぜなら彼は、どんな罵声の言葉よりも、大好きな私をこれ以上苦しませたくなかったのだ。流星が私の背中を強く握ると、後ろからよっちゃんが流星のしっぽに手をかけた。
「じゃあな。イキリ陰キャ集団。」
しっぽが抜けていく音が聞こえた。
星空バスタージュ スイートポテト @nogi_love2
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