第15話 図書室後日談

職員室。泰介は初等部、中等部、高等部からなる全校生徒のデータを閲覧できる端末を見ていた。

宮内博樹のデータ、安藤雅子のデータ。そして篠崎春香のデータ。


最初に部屋を荒らされた事件、あれは博樹だったのかも知れない。

しばらく博樹は学校に来ていない。


あの日、図書室での出来事の後、私は欠片は福島のお祖父さんの家にある筈と伝えた。

それから春香に博樹から聞いた話をした。


泰介の図書室回想

宮内はな、何処かの国の諜報員で、その国はドラッヘを退治しようとしてるって言ってた。

春香も雅子も黙って聞いていた。


組織の指令により私に近づく為にこの学校に来て、監視をし護衛をしてると…。

それであの日、俺のアパートで篠崎に襲われた時に宮内が助けに入ったと…

「姉さん、襲ったんですか!?前よりずっと積極的になったんですねえ」

「そういう襲うじゃないから!」鼻息荒く聞く雅子に春香は否定した。


あと、篠崎は秘密結社の一員で、ドラッヘを操ってると。

「なんだと!!貴様姉さんを愚弄する気か!我々はアイツを倒す為にこれまで…」

「黙りなさい!先生は聞いた事を教えてくれているのです、悪いのは先程の少年です」雅子の言葉をたしなめる春香。


春香は

「先生、私は只のこの学校の生徒で、少し普通の人と違うのは前世の記憶があって、武器を使える、それだけなんだ」

武器を使えるって、それ、かなりのもんだけどね。でも言葉にしなかった。

その武器だけど、宮内は超能力の研究してる機関の技術で、腕に具現化装置が埋め込まれてるって言ってた。


春香は雅子を見た。雅子は首を降った。

「私も彼女も、何も埋められた事はないよ」

「これは科学の技術じゃない、出来るからできる事」

またしても発生する理屈が全く理解できない。


春香はあの1月の授業で倒れた時に、泰介の話が引き金となり自分の前世の記憶を思い出したと語った。

ドラッヘには別の名前がかつてあって、現ドラッヘを倒す為に能力に目覚めたと。

雅子は生まれつき記憶は残っており、何処かに姉がいて、ドラッヘと戦うとわかっていたと。


二人は宮内を知っている様だった。「前世の記憶」の中であたる人物を知っていて、散々騙されてきたという。


欠片について、宮内が言ってたドラッヘに対抗する武器になる事を話すと、春香はすまなそうにして

「それは本当」といった。雅子は欠片の事は知らないと言う。



「あれっ、勝山先生、篠崎さんタイプなんですか?」

後ろから覗き混んだのは胎中響美先生だった。春香の担任だ。

「違いますよ、先日家に…」「えっ?家に呼んだんですか?」

「ちっ、違います!家の近所でたまたま会って、近所で会うと気まずいじゃないですか」

「ふーん、この先生は要注意ですね」去って行く響美。

当たっているだけに驚いた…と頭で呟き端末の資料を閉じる。


「おっと、授業の用意をしなきゃ」

自分の席に戻る時、図書室での出来事を再び思い出す。

時計を見て下校時間が迫ってる。

そろそろ帰ろうとした時、「最後にこれだけ」と俺は前置きし、ドラッヘが次は日本に来ると宮内が言ってたと伝えると、

また二人の緊張が高まり、春香はギリッと音のしそうな表情になった。

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